フランスのモバイル決済サービス・Wave SénégalのCTO(最高技術責任者)を務めるBen Kuhn氏が、Macの位置情報サービスによってMacのWi-Fi通信が60秒ごとに遅くなると指摘しています。



Apple Maps location scan spikes WiFi latency every 60 seconds | Hacker News

https://news.ycombinator.com/item?id=31356730

Kuhn氏によれば、Zoomの呼び出しがいつも60秒ごとに途切れる原因を探っていたところ、Apple Mapが原因だと判明したとのこと。Kuhn氏は60秒ごとにWi-Fiに遅延が生じる現象を2016年頃から確認していたそうで、動作に問題のあるアプリがあるかどうかを確認するために、macOS上でバックグラウンドのWi-Fiログを有効にして原因を探っていたそうです。



検証の結果、Apple Mapが60秒ごとに位置情報のスキャンを要求していたことが判明しました。この位置情報のスキャンによってWi-Fiネットワークスキャンが発生し、60秒ごとに数秒間遅延が発生するとのこと。



これまでにもAppleは奇妙なネットワーク通信を行っていることが指摘されています。例えばソーシャルニュースサイトのHacker Newsに投稿された書き込みによれば、T2セキュリティチップ搭載のMacBookは、キーボードファームウェアの署名のタイムスタンプをチェックするためか、キーボードを使う前にNTPを介して時刻同期を行っているとのこと。MacBookを開いてすぐだとキーボードが反応しないことがあるのは、この時刻同期が原因だそうです。

今回の位置情報を起因とするWi-Fi遅延についても、やはりHacker Newsで同様の報告が投稿されています。Hacker Newsユーザーのtda氏は、「MacBook上で遊ぶゲームの映像をWindowsのノートPCにWi-Fi経由でストリーミングした時に、遅延が60秒ごとに増加していたことに気づきました。有線を使って接続している時は遅延が発生しないので、Wi-Fiに問題があると考えました。また、MacBookを近くの喫茶店でWi-Fiに接続して使ったところ、やはり毎分の遅延が発生していました。最終的に位置情報サービスをオフにすると、遅延は発生しなくなりました」と報告しています。

ゲームのストリーミングで同様の遅延に悩んでいるユーザーは他にもいるようで、GitHubにも「macOSで頻繁にWi-Fiの遅延が発生する」現象を経験したという報告が集まっています。また、Hacker Newsには「一連の報告を受けて位置情報サービスをオフにしたところ、問題が解決された」という投稿もあります。

結果として、Kuhn氏はMacの位置情報サービスを完全に無効化することを推奨しています。