東武鉄道が栃木県日光市内の路線で運行しているSL・蒸気機関車が1両増え、夏から3両体制になります。それに向けて3両目の車両の試運転が始まり、報道機関に21日公開されました。

東武鉄道が復元した重厚で存在感のある漆黒のボディ、SL「C11形123号機」です。東武鬼怒川線や日光線で「SL大樹」として走っている2つの車両の仲間に加わり、3両体制になります。

この車両は1947年に製造され滋賀県や北海道で客車や貨車をけん引、75年に廃車になると、その後は北海道江別市でそのまま保存されていました。2018年に東武鉄道が譲り受けた当時は、かなり傷みが進行していたため20人のチームを組んで復元作業に臨んできました。 

新型コロナウイルスの影響もあり作業が難航したため、当初の見込みより復元が遅れたということですが、21日はブランクを感じさせないほど力強く訓練用の線路の上を走りました。公開された試運転は4往復で、一部は営業運転と同じ時速45キロのスピードでレールを駆け抜けました。 

今年は日本に鉄道が開業してから150年の節目の年であり、東武鉄道は創立125年を迎えます。「鉄道産業文化遺産の保存と活用」という大きな意義を持つSL大樹が、日本の鉄道文化に新たな歴史を刻みます。

車両は今年7月に日光エリアでの営業運転を目指していて、6月にはほかの2両と連結させて三重連運転をするイベントを行う予定です。