by Tony Webster

エクササイズ機器メーカーのPelotonが2022年2月8日に、事業不振からCEOが退任し、従業員も2800人解雇することを発表しました。同社は、解雇された従業員には自宅でオンラインフィットネスができる自社サービス1年分を提供するとしています。

Peloton® | Press | A Message from John Foley, Peloton's Co-Founder, Executive Chair

https://www.onepeloton.com/press/articles/a-message-from-john-foley

Peloton fired 2,800 employees and gave them free Peloton memberships - The Verge

https://www.theverge.com/2022/2/8/22923480/peloton-severance-package-membership-layoffs

フィットネスバイクやトレッドミルを手がけるPelotonは、自宅でトレーニングプログラムを受けられるサブスクリプションサービスでも有名なエクササイズ機器メーカーです。2021年12月には、人気ドラマの登場人物がフィットネスバイク使用中に心臓発作で倒れるシーンが描かれたのを契機に株価が暴落したことで話題になりました。同社はその後、作中で倒れた登場人物と同じ俳優を起用したCMを流して安全性をアピールしましたが、そのかいもなく再び別のドラマでいじられる羽目になっています。

フィットネスバイクで心臓発作を起こすシーンがドラマに登場、メーカーが同じ役者で安全性をアピールするものの再び心臓発作マシンとして使われてしまう - GIGAZINE



新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う巣ごもり需要で売り上げを大きく伸ばしたPelotonですが、パンデミックが落ち着くにつれて経営状況が悪化していました。伝えられるところによると、Pelotonのトレッドミルで死亡事故を含む子どもの負傷事件が複数発生し、これを受けて製品のリコールが命じられるなど、同社は事業低迷とイメージ悪化の挟み撃ちを受けている状況にあるとのこと。

相次ぐ不祥事により、Pelotonの発行済み株式の時価総額はピーク時の500億ドル(約5兆7000億円)から、全製品の生産が停止するとの未確認情報が流れた1月末の80億ドル(約9000億円)まで激減しました。その一方で、同社にはAppleやAmazon、ナイキやディズニーといった大企業に買収されるとのうわさも立っており、いずれにせよ独立した経営の継続が危ぶまれる事態になっています。

事業環境の急激な悪化を受けて、同社のCEOであるジョン・フォーリー氏は2022年2月8日に、「パンデミックは前例のない需要をもたらしましたが、それが終わった後の需要は当社の見込みとは異なっていました」と述べて、自らの退任と従業員の削減を発表しました。CEOから退いたフォーリー氏は、取締役会会長として会社に残るとのこと。また、解雇される従業員2800人に対しては、退職金と医療給付の延長に加え、Pelotonのサービスの月会費が12カ月無料になる特典が付与されるとしています。



IT系ニュースサイトのThe Vergeは、Pelotonの対応について「解雇された従業員には朗報かもしれません。なぜなら、元同僚のインストラクターに励まされながら運動したり、前の職場が提供するハードな筋トレプログラムのランキングに名を連ねたりするのは、失職のつらさを紛らわせるのに役立つこと間違いなしだからです」と皮肉を述べました。