ほだ木の樹皮をハンマーで打つ県職員(大分県豊後大野市で=県農林水産研究指導センター提供)

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 原木シイタケのほだ木をハンマーでたたくと収量が倍増する――。大分県農林水産研究指導センターは、経験的に知られていたシイタケの増収方法の条件を明らかにした。キノコ(子実体)の発生約2週間前に、ほだ木に散水して10回たたく。県内では温暖化などの影響で冬の発生量が減少しており、センターは生産者所得の改善につなげる狙いだ。

 近年、2〜4月に収穫する低温性品種の収量減が報告されていて、特にほだ起こし後2年目の発生量減が課題となっている。シイタケはほだ木に振動を与えると発生量が増えると知られており、センターは安全かつ簡易に刺激を与える方法として、ハンマーでの打木の効果と条件を明らかにした。

 品種「もりの春太」を使った試験では、1月下旬に打木すると1立方メートル当たりの発生量(乾重量)は5・7キロとなり、打木なしの2・4キロから倍増した。直径10センチ、長さ1メートル程度の発生2年目のほだ木を使用。打木前に散水を行い、ハンマーで表裏5回計10回たたいた。木口より樹皮をたたく方が効果が大きかった。ただ、なぜ増えるのか、メカニズムはよく分かっていないという。

 技術は県内の生産者に徐々に普及が始まっている。同センターきのこグループは「今後は、たたく強さや省力化の方法などを明らかにし、生産者の所得向上で新規参入増加につなげたい」と展望する。