韓国のゴルフ場が「日本車 立入禁止」を発表!? トヨタ・ホンダ・日産などが対象に!「NO NO JAPAN運動」が背景にある?

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背景にあるのは「ノーノー・ジャパン」か

 2021年11月1日、韓国のとあるゴルフ場の公式ホームページに「日本車立入禁止実施のお知らせ」というページが掲載されました。
 
 日本車立ち入り禁止とは、いったいどういうことなのでしょうか。

なぜ韓国のゴルフ場では「日本車立入禁止」というアナウンスが出たのか?

 このゴルフ場は、韓国の首都ソウルから南に約200kmにあるキムジェ市郊外の「アネスビルカントリークラブ」です。

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 お知らせの内容を見ると、2022年1月1日より、トヨタ、レクサス、ホンダ、インフィニティ、三菱、マツダ、スバル、いすゞのクルマの駐車場の使用を禁止することが述べられています。

 また、立入禁止を実施する理由については、「日帝(日本帝国)の抑圧から国を守り、子孫に自由を与えた先祖の功労を忘れないようにしようという趣旨」と記されており、日本と韓国の歴史認識にもとづくものであることがわかります。

 さらに「歴史を歪曲し、韓国国民にじゅうぶんな謝罪を行わない日本に対する、民間企業の意志です」との文言も付け加えられています。

 日本と韓国の歴史認識については双方さまざまな見解があるため、ここで詳細を議論することは避けますが、一部の韓国人は、現在でも日本に対して不満を持っているといわれています。

 最近では、日本統治時代に韓国人を強制的に労働させたとして、日本企業を訴える徴用工訴訟問題が注目を集めていました。

 また、そうした日韓問題に関連して、日本製品のボイコット運動である「ノーノー・ジャパン」が展開されることがあり、今回のゴルフ場での日本車立ち入り禁止も、そうしたことが背景にあるものと考えられます。

 こうした不買運動の影響は自動車業界にも少なからず影響を与えています。

 韓国輸入自動車協会の発表によると、2020年のトヨタ、レクサス、日産、インフィニティ、ホンダの5ブランドの合計販売台数は2万564台と、2019年の3万6661台と比べて約44%もの大幅減となっています。

 2020年の韓国全体の新車販売台数は約160万台であるため、日本車のシェアはわずか1%強となっています。

 この10年でヒョンデ(ヒュンダイ)やキアといった韓国自動車メーカーが大きく躍進したことや、韓国国内で欧州車のシェアが伸びていることなど、日本車が不調の原因がすべて不買運動にあるわけではありません。

 しかし、日産が2020年限りで韓国市場から撤退するなど、韓国では日本車にとって厳しい状況が続いています。

多くの韓国人は意外に冷静?

 日本では、一般に開放されている店舗などが、合理的な理由がないまま外国人の立ち入りを禁止したことで、他人の権利を不当に侵害したなどのの理由で損害賠償の対象になるという判例があります。

 同様に、合理的な理由なく特定の車種の立ち入りを禁止することは、他人の権利を不当に侵害することになる可能性が高いと考えられます。

 実際に、アネスビルカントリークラブも「日本車立入禁止」としている一方で、詳細を見ると「日本車で来場されたお客様のゴルフバッグのクルマへの積み下ろしは行いません」と記されているなど、立入禁止はそれほど厳格なものではなく、経営者の意思表示のパフォーマンスという側面が強いことがうかがえます。

日本車のユーザーにはゴルフバッグの積み下ろしをおこわないとアナウンスも。(画像はイメージ)

 韓国国内でも今回のアネスビルカントリークラブの行動は大きな話題となっています。

 ただ、韓国のインターネット掲示板などを見ると、おおむね批判的な意見が大勢を占めているようです。

 例えば、「これは人種差別とはどう異なるのか?」や「日本を嫌うことが、愛国だと勘違いしている」といった意見が見られます。

 さらには「特におもしろくない」と、そもそも関心を持ってすらいないようでもあります。

 実際のところ、不買運動などをおこなうのは韓国人全体から見るとごく一部であり、経済的、文化的に日本を重要な国と認識している韓国人は少なくありません。 

 このように考えると、日本に対して極端にネガティブな印象を持っている韓国人は決して多くないのかもしれません。

 日本人から見ても、韓国は優れたエンターテイメントやファッションを持つ国であり、とくに若年層にとっては行きたい国のひとつとなっています。

 今回のようなセンセーショナルなニュースは、誇張して伝わることも少なくありませんが、あくまでひとつの事例として、冷静にとらえることが重要です。

※ ※ ※

 2009年をもって日本の乗用車市場からは撤退しているヒョンデですが、近日中に市場復帰するという噂もあります。

 それが実現すれば、日本の自動車業界にとっては大きなニュースとなることでしょう。

 いずれにせよ、日本と韓国は「近くて遠い国」として、時に友好的に、そして時には敵対的な関係を続けていくことが考えられます。

 国家間ではデリケートな関係の両国ですが、個人レベルでは仲良く手を取り合っていきたいものです。