もう秋冬のカサカサで悩まない!医師が教えるうるおいボディケア術
秋が深まってくると、家族みんなのボディのカサつきが気になり始めます。きちんと保湿しているつもりなのに毎年悩まされていたら、お手入れ方法が間違っているのかも。今回は正しいケアを、皮膚科医の佐治なぎささんに教えてもらいました。
皮膚科医が教えるボディケア
「秋から冬に向け、ボディの乾燥を訴える患者さんが増えます。でも、じつは夏も乾燥していることがあります。湿度が高いため気づかない人が多いんです」と佐治先生。夏の間、保湿を怠っていたことや、紫外線やエアコンなど外から受けたダメージの蓄積も秋冬の乾燥の原因に。
「肌の乾燥は肌のバリア機能低下につながります。バリア機能には紫外線などの外部刺激から肌を守り、肌の水分が蒸発するのを防ぐ役目が。そのため、バリア機能が低下すると、さらなる肌の乾燥も招いて、肌トラブルの悪循環に陥ります」。次の3つのレッスンで、肌を乾燥させない習慣をもち、効果的な保湿ケアをしましょう。
肌のバリア機能について正しく知り、バリア機能を守ることができるアイテム選びを心がけましょう。
バリア機能が低下した肌
バリア機能を守るには、水分を補給して、逃さないようにフタをします。
肌の構造をレンガ壁にたとえると、うるおいを含む角質細胞がレンガ、その間を埋めているモルタルが細胞間脂質。モルタルがないとレンガ壁が崩れてしまうように、細胞間脂質が不足すると角質細胞も乱れてバリア機能が低下。
「肌の水分が蒸発するだけでなく、かゆみ神経が上がってきてかゆみのトラブルも発生します。細胞間脂質が不足しないように、『モイスチャライザー』で肌をうるおいで満たし、『エモリエント』(ともに下の解説参照)でうるおいを逃さず守ることが大切です」
・補って保持する「モイスチャライザー」
モイスチャライザーとは、肌の水分を補って、うるおいを保つことが目的。一般的に、ローションやミルクがその役割を果たすアイテムです。
〈おもな成分〉 セラミド、ヒアルロン酸、ヘパリン類似成分など
・フタをして蒸発を防ぐ「エモリエント」
エモリエントとは、肌表面からの水分の蒸発を抑え、うるおいを保つことが目的。一般的に、クリームやオイルがその役割を果たすアイテムです。
〈おもな成分〉 天然油脂、脂肪酸エステル、ラノリン、リン脂質など
秋冬のボディケアには、モイスチャライザー効果とエモリエント効果のバランスのよいミルクやクリームがおすすめ。皮脂腺の少ない手足には、両方使うとより効果的。
毎日のちょっとしたことが、乾燥の原因になっていることもあります。いつもの習慣を見直してみてください。
・お風呂のお湯は42度以下に。長湯にも注意
「熱いお湯は、うるおいを守る皮脂を取りすぎてしまいます。湯船の温度は42℃以下が理想」。熱すぎるお風呂の長湯は、さらに皮脂の取りすぎにつながるので避けた方が◎。
・入浴後は30分以内に保湿ケアをすればOK!
風呂上がりから30分以内は肌の水分量は変わらない、という研究結果が。「入浴後は1秒でも早く保湿をしなきゃ! と、あわてなくても大丈夫。もし30分以上経っても、保湿はやらないよりやった方がずっとましです」。
・部屋の湿度は40〜50%をキープ
「湿度が20%をきると、肌の乾燥が進みます。加湿器などを利用して、40〜50%の湿度を保つようにしましょう」。ただし、加湿しすぎも要注意。60%を超えるとカビの原因になるなど、別のリスクがアップ。
・手軽に使えるアイテムで朝の保湿ケアも習慣化
乾燥が気になる季節は、夜だけでなく朝もボディの保湿ケアを。「ひじやひざ、かかとなどとくに乾く部分だけでもいいので、習慣化してください。ベタつきの少ない保湿剤なら、着替え前や外出前のケアに使いやすいですね!」
ボディの皮脂量はパーツによって違うため、乾き方も違います。それぞれのパーツの乾燥に合った方法で過不足なくケアを。
<おなか・背中>
おなかや背中は、衣服でおおわれている時間が長いので皮膚の水分が蒸発しにくく、背中は皮脂腺も多め。「軽い感触のローションやミルクのケアでもいいでしょう」。
<手>
一日に何度も水や消毒液に触れて乾きやすい手は、こまめにハンドクリームでケアを。「香りのあるタイプなら、同時にリフレッシュもでき、習慣化しやすくなりますよ」。
<かかと>
皮脂腺がないかかとは、体のなかでも乾燥がひどくなりやすい部分。「ミルクやクリームでしっかり保湿を。硬くなっていたら角質ケアもプラスしましょう」。
<ひじ・ひざ・すね>
ひじやひざ、すねは皮脂腺が少ない部分。「モイスチャライザーとエモリエントのバランスがよい、しっかりとうるおいを感じるミルクやクリームでケアを。乾燥がひどいときは、重ね塗りして、仕上げにオイルを塗っても」。
大人の肌の厚さに比べ、10歳以下の肌の厚さは約半分。それだけにバリア機能も十分に働いていません。「10歳以下の保湿ケアは、とくしっかりと対応して。子どもが好む使い心地のものを探すなど、無理なく習慣化できる工夫をしましょう」。
<イラスト/天野未来 取材・文/ESSE編集部>
●教えてくれた人
皮膚科医。日本皮膚科学会認定専門医。イデリア スキンクリニック代官山院長。丁寧なカウンセリングと診断力に定評があり、自身も3歳の男の子のママ
皮膚科医が教えるボディケア
医師が教える正しいボディケアうるおいレッスン
「秋から冬に向け、ボディの乾燥を訴える患者さんが増えます。でも、じつは夏も乾燥していることがあります。湿度が高いため気づかない人が多いんです」と佐治先生。夏の間、保湿を怠っていたことや、紫外線やエアコンなど外から受けたダメージの蓄積も秋冬の乾燥の原因に。
●夏から乾燥し続けている肌。肌を守る“バリア機能”は秋冬でさらに低下!
「肌の乾燥は肌のバリア機能低下につながります。バリア機能には紫外線などの外部刺激から肌を守り、肌の水分が蒸発するのを防ぐ役目が。そのため、バリア機能が低下すると、さらなる肌の乾燥も招いて、肌トラブルの悪循環に陥ります」。次の3つのレッスンで、肌を乾燥させない習慣をもち、効果的な保湿ケアをしましょう。
●Lesson1 秋冬の保湿アイテム選び
肌のバリア機能について正しく知り、バリア機能を守ることができるアイテム選びを心がけましょう。
バリア機能が低下した肌
バリア機能を守るには、水分を補給して、逃さないようにフタをします。
肌の構造をレンガ壁にたとえると、うるおいを含む角質細胞がレンガ、その間を埋めているモルタルが細胞間脂質。モルタルがないとレンガ壁が崩れてしまうように、細胞間脂質が不足すると角質細胞も乱れてバリア機能が低下。
「肌の水分が蒸発するだけでなく、かゆみ神経が上がってきてかゆみのトラブルも発生します。細胞間脂質が不足しないように、『モイスチャライザー』で肌をうるおいで満たし、『エモリエント』(ともに下の解説参照)でうるおいを逃さず守ることが大切です」
・補って保持する「モイスチャライザー」
モイスチャライザーとは、肌の水分を補って、うるおいを保つことが目的。一般的に、ローションやミルクがその役割を果たすアイテムです。
〈おもな成分〉 セラミド、ヒアルロン酸、ヘパリン類似成分など
・フタをして蒸発を防ぐ「エモリエント」
エモリエントとは、肌表面からの水分の蒸発を抑え、うるおいを保つことが目的。一般的に、クリームやオイルがその役割を果たすアイテムです。
〈おもな成分〉 天然油脂、脂肪酸エステル、ラノリン、リン脂質など
秋冬のボディケアには、モイスチャライザー効果とエモリエント効果のバランスのよいミルクやクリームがおすすめ。皮脂腺の少ない手足には、両方使うとより効果的。
●Lesson2 乾燥させないうるおい習慣
毎日のちょっとしたことが、乾燥の原因になっていることもあります。いつもの習慣を見直してみてください。
・お風呂のお湯は42度以下に。長湯にも注意
「熱いお湯は、うるおいを守る皮脂を取りすぎてしまいます。湯船の温度は42℃以下が理想」。熱すぎるお風呂の長湯は、さらに皮脂の取りすぎにつながるので避けた方が◎。
・入浴後は30分以内に保湿ケアをすればOK!
風呂上がりから30分以内は肌の水分量は変わらない、という研究結果が。「入浴後は1秒でも早く保湿をしなきゃ! と、あわてなくても大丈夫。もし30分以上経っても、保湿はやらないよりやった方がずっとましです」。
・部屋の湿度は40〜50%をキープ
「湿度が20%をきると、肌の乾燥が進みます。加湿器などを利用して、40〜50%の湿度を保つようにしましょう」。ただし、加湿しすぎも要注意。60%を超えるとカビの原因になるなど、別のリスクがアップ。
・手軽に使えるアイテムで朝の保湿ケアも習慣化
乾燥が気になる季節は、夜だけでなく朝もボディの保湿ケアを。「ひじやひざ、かかとなどとくに乾く部分だけでもいいので、習慣化してください。ベタつきの少ない保湿剤なら、着替え前や外出前のケアに使いやすいですね!」
●Lesson3 とくに気をつけたいパーツ別うるおいケア
ボディの皮脂量はパーツによって違うため、乾き方も違います。それぞれのパーツの乾燥に合った方法で過不足なくケアを。
<おなか・背中>
おなかや背中は、衣服でおおわれている時間が長いので皮膚の水分が蒸発しにくく、背中は皮脂腺も多め。「軽い感触のローションやミルクのケアでもいいでしょう」。
<手>
一日に何度も水や消毒液に触れて乾きやすい手は、こまめにハンドクリームでケアを。「香りのあるタイプなら、同時にリフレッシュもでき、習慣化しやすくなりますよ」。
<かかと>
皮脂腺がないかかとは、体のなかでも乾燥がひどくなりやすい部分。「ミルクやクリームでしっかり保湿を。硬くなっていたら角質ケアもプラスしましょう」。
<ひじ・ひざ・すね>
ひじやひざ、すねは皮脂腺が少ない部分。「モイスチャライザーとエモリエントのバランスがよい、しっかりとうるおいを感じるミルクやクリームでケアを。乾燥がひどいときは、重ね塗りして、仕上げにオイルを塗っても」。
●子どもの肌の厚さは大人の約半分で乾きやすい!
大人の肌の厚さに比べ、10歳以下の肌の厚さは約半分。それだけにバリア機能も十分に働いていません。「10歳以下の保湿ケアは、とくしっかりと対応して。子どもが好む使い心地のものを探すなど、無理なく習慣化できる工夫をしましょう」。
<イラスト/天野未来 取材・文/ESSE編集部>
●教えてくれた人
【佐治なぎささん】
皮膚科医。日本皮膚科学会認定専門医。イデリア スキンクリニック代官山院長。丁寧なカウンセリングと診断力に定評があり、自身も3歳の男の子のママ