年齢を重ね、自分の親も高齢になってくると「ものがあふれた実家をスッキリさせたい…」と考える人も多いのではないでしょうか? でもいざ片づけようとすると、親が嫌がったりしてなかなか進まない…なんてことも。

そこで、高齢の親が暮らす家をスムーズに片づけたい人に向け、現在60代・カナダ在住のミニマリストでブロガーの筆子さんに、親の住む家を片づける際に注意することを教えてもらいました。


高齢親の家を片づけるとき注意すること(※写真はイメージです)

高齢の親が暮らす家を片づけるときに注意すること5つ



50代以降になると、親が高齢になり、施設に転居したり、ヘルパーさんに家に入ってもらったりなどの事情から、親の暮らす家の片づけを手伝うことが増えてきます。

親は元気だけれど、ものだらけの実家を今のうちに少しでも片づけておきたいと考える人もいるでしょう。

そんなとき、気をつけるべきことを5つ紹介します。

●1.親の承諾を得る




まずは親の承諾を得てから(※写真はイメージです)

親の家、すなわち実家は、自分の家ではないので、親の承諾を得てから片づけを始めてください。たとえ相手が子供でも、勝手に自分のものを捨てられると誰だって不愉快です。

介護ホームに入居する、家をリフォームするなどの理由があるか、親自身がものを減らしたいと思っているときは、承諾を得やすいものです。

しかし、親がなにも捨てたくないと思っているときは、話し合いをして説得をしなければなりません。
その場合は、なぜ、ものを減らすべきなのか、親が納得できる理由を提示するようにしてください。

たとえば、ものを減らしたほうが安全だし暮らしやすい、掃除が簡単、孫が遊ぶスペースができる、など。

親ががんとして片づけに応じないときは、「お母さんのためなのよ!」と言うのではなく、「ものを減らしておくと、私が安心だから、私のために捨ててほしい」と言ったほうがうまくいきます。親はいくつになっても子供がかわいいですからね。

私が、母親のものを片づけたときは、「ブログのネタにしたいから毎日少しずつ捨てよう」と言いました。

●2.親が片づけたいと思うものから始める




親が片づけたいと思うものから始めるのが大切(※写真はイメージです)

片づけることが決まったら、まず、親が捨てたいものから捨て始めます。子供が一方的に片づけるのではなく、親が主体的に参加できる状況をつくってください。そのためには、親の意向を聞き、尊重することが重要です。

「何か捨てたいものある?」と聞いても、「ない」と言うでしょうから、「どこか、スッキリさせたい場所ってある?」「片づけたい部屋とかある?」と聞いてみるといいでしょう。

「このあいだ、自分の家のクローゼットを片づけたんだけど、意外にたくさん服を持ってたんだよね。お母さんはどう?」と、それとなく水を向けるのもよい方法です。

先に、実家にある自分のものを片づけるのもおすすめです。子供がせっせとものを捨てている姿を見て、「そういえば、あそこにものがいっぱいあったなあ」と思い出してくれるかもしれません。

●3.命令ではなく提案する



親子は遠慮がない間柄なので、「これ、もう捨てなよ」と子供が親に命令しがちです。しかし、これは最悪のやり方です。

捨ててほしいものがあるときは、命令ではなく提案してください。

人の片づけを手伝うときに、1つ1つものを見せながら、「これ、いる? いらない?」と聞く方法があります。

私も、子供が相手のときは、この方法を使いますが、親相手にはやりません。捨てることが苦手な人に、「ほら、さっさと決めてよ!」とばかりに「捨てる・捨てない」の決断を迫ると、大きなストレスになり、片づけを楽しめなくなるからです。

そうなると、「もうあんたは片づけに来なくていい!」と親に言われてしまうかもしれません。「これ、すごくたくさんあるし、少し減らしたらいいんじゃないかなあ」と、やんわりと提案しましょう。

●4.親の身になりながら少しずつ




急ぎすぎないのもポイント(※写真はイメージです)

親の気持ちを考えながら、少しずつ捨てましょう。

親の家の片づけは、親の便宜をはかるためにやることです。自分が捨てたいからと言って、強引に捨ててはいけません。

誰でも他人のものはガラクタに見えますが、当人にとっては大事なものかもしれません。

ものを捨て慣れない人は、明らかに使っていないものでも、捨てるときに身をはがされるような痛みを感じることがあります。

ちょっとのんびりすぎるかな、ぐらいのペースでやったほうがうまくいきます。

母と実家を片づけていたときは、夏だったのもあり、平日の午前中に30分前後捨てて、長々とやらないようにしていました。

●5.コミュニケーションを楽しむ



実家を片づけていると、子供の頃使ったものが出てきて、親と思い出話に花が咲くかもしれません。こんなときも、時間をとって親子でいろいろ話をしてください。

自分のものを捨てるときは、「いちいち思い出にひたらず、さっさと事務的に捨てるべし」と提案している私ですが、親と片づけるときは、コミュニケーションを楽しむつもりで、わきあいあいと行ったほうがうまくいきます。

実際、一緒に片づけるということは、ともに時間を過ごすことですから。

親が片づけに対してネガティブな気持ちを持つと、先に進むことができないので、いい雰囲気づくりを心がけてください。

私も、遠くに住んでいてふだん会えないという理由もありますが、母といろいろなものを片づけた時間はいい思い出になっています。

●すっきりとした生活のよさを知ってもらうためには



ものが少ない生活のよさを親に知ってもらう最良の方法は、自分自身が、シンプルに楽しく暮らすことです。

ものだらけの部屋に暮らしている人が、いくら「片づけなよ。ものがないほうが楽だよ」と言っても説得力はありません。親の家をスムーズに片づけるためにも、まずは自分の暮らしを見直してみましょう。

●教えてくれた人
【筆子(ふでこ)さん】



1959年生まれ、カナダ在住。60代のミニマリストな主婦ブロガー。夫と娘の3人家族で娘は独立し現在夫と2人暮らし。人気ブログ「筆子ジャーナル
」では持たない暮らしに関する情報を発信。著書に『1週間で8割捨てる技術
』(KADOKAWA刊)、『買わない暮らし。片づけ、節約、ムダづかい……シンプルに解決する方法
』(大和出版刊)など