決勝進出を決めた男子エペの村上仁紀【写真:荒川祐史】

写真拡大

フェンシング全日本選手権

 フェンシングの全日本選手権個人戦は18日、東京・駒沢体育館で最終日の第3日が行われ、男子エペの村上仁紀(さとき・あおぞら病院)が決勝進出を決めた。“YouTubeフェンサー”として競技の魅力を伝える30歳。11月6日の決勝では、東京五輪団体金メダルメンバーの加納虹輝(JAL)と互いに初優勝を懸けて対戦する。

 村上が雄叫びを上げた。日大1年・松本龍との準決勝。14-14からラスト1本を獲り切った。直前に金メダルメンバーの山田優を破って勝ち上がってきた若手を退け、決勝に進出。「山は1試合目。今まで国内の大会も全然なくて緊張していた。1試合目で勝てたのは大きかった。徐々に自分のペースを作れたのが決勝進出に繋がった」と汗を拭った。

 普段は自身のYouTubeチャンネル「さときんぐのフェンシングch」で競技の魅力を発信中。競技のあるあるやトリビア、解説なども行っている。東京五輪はライブ配信で解説したが、日本初の金メダル獲得に「心の底から嬉しかった」と号泣。チャンネル登録者数も増え「五輪って凄いな」と実感した。親交のある加納も「さときんぐさんは本当に心から応援してくれて、ただただ良い人なんだなと思う」と笑顔で感謝した。

 高校時代までエペと兼任しながら、本職はフルーレだった。しかし、2017年の国体はエペで優勝。同種目第一人者で東京五輪団体主将の見延和靖から「お前もエペでやってみないか」と熱烈な誘いを受けた。「フルーレでうまくいっていなくて、心機一転やってみよう」と種目転向。見延と食事にも行くようになり「お前はエペがいい。『エペジーーン』だよ」とお墨付きをもらった。

 ちなみに「エペジーーン」とは、見延が男子エペ団体に名付けた愛称。「エペ陣」と「ジーンと感動させる」をかけたもので、東京五輪開催中にはSNS上でトレンド入りするなど話題となっていた。

 決勝は初優勝を懸けて加納と対戦。村上は「五輪メンバーで一番熱い試合をやっていた加納選手とできるので素直に楽しみです」と心待ちにした。(THE ANSWER編集部)