金融サービス連携で金利200倍! KDDIが注力するポイント経済圏の進化とNPS向上の秘策とは

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●金融サービスの強化に注力するKDDI
KDDIは8月26日、金融サービスに関するオンライン説明会を開催しました。
説明会ではau経済圏の成長戦略について語られ、

・eコーマス
・電気(エネルギー)
・金融

これら3つの事業を柱としつつ、通信事業によって培ってきたauスマートパスや、au PAYの膨大な顧客基盤をユーザーとの接点と考え、Pontaポイントによって経済圏を効率的に循環させていくというものです。

そのために今回新たに用意されたサービスが、

・auじぶん銀行 auまとめて金利優遇(9月1日より)
・au PAY 残高から自動払出(8月30日より)

これら2つとなります。


複数サービスを同時に利用してもらうことで経済圏を強化していく



●auサービスを複数まとめて金利200倍!
auじぶん銀行の普通口座の場合、通常は年0.001%と超低金利で一般的な銀行金利と変わりません。
そこでKDDIは、この普通口座をさまざまな金融サービスと紐付けし、ユーザーに複数のサービスを利用してもらうことで大幅に金利を引き上げる戦略を取りました。

・auカブコム証券との口座連携で年0.099%を加算
・au PAYカードの口座引き落としで年0.05%を加算
・au PAYの口座連携で年0.05%加算

これらの年利ボーナスによって、最大年0.20%(税引き後0.15%)、実に通常の200倍となる金利を実現しました。


絶対金利としてはあまり高くはないがインパクトは大きい


au PAYなどでの決済・金融取扱高の合計は、2020年度には9兆円にものぼります。
KDDIは「複数の金融サービスを利用するほどにNPS(Net Promoter Score=顧客推奨度)が向上している」という調査データを示し、複数の金融サービスを連携させることこそが経済圏強化につながるとしています。

NPSとは、顧客(ユーザー)が企業に対してどの程度愛着や信頼を感じているか」を表す指標です。
当然ながら、顧客が「このサービスは使いやすい」、「この企業のサービスなら信頼できる」と感じるほどにサービスは利用されます。
そのため、KDDIもNPSの向上に必要な施策を何よりも重視しているのです。


ユーザーとしても、ワンストップで決済や銀行取引ができることのメリットが大きいことからNPS向上につながっていると思われる



●ユーザー目線の細かなニーズを拾い上げた自動払出サービス
au PAYの残高から自動払出とは、au PAYを利用後に余った残高を銀行口座へ自動で戻す(払い出す)というものです。
これまでも手動での払出は可能でしたが、これを自動化するものです。

銀行口座とau PAYとの連携では自動チャージ機能などがありますが、この機能を適用したユーザーはひと月あたりの決済金額が全体平均の2倍という数字になっています。
ユーザーの「手間なく簡単に使いたい」というニーズを掴んだ結果であり、今回の自動払出もユーザーメリットに主眼を置いた施策です。

au PAYへチャージした金額をわざわざ自動で払い出す必要があるのか?という疑問も浮かびそうなところですが、

・毎月の利用額を適切に管理したい
・使いすぎをシステム上から抑えたい

こういったニーズにも柔軟に対応できるシステムと言えます。


金融資産を分かりやすく管理したいというニーズは意外と多い



●ポイント経済圏から巨大金融経済圏へ
このほかにも新たなサービスとして、

・「カードローンau限定割」による最大年0.5%優遇の対象ユーザーを8月18日より拡大
・振込手数料を10月1日より99円に引き下げ

こういった施策も次々と打ち出し、金融サービスのお得さや使いやすさを積極的にアピールしています。

KDDIは通信関連企業の中でも金融サービスにいち早く取り組み始めた企業でもあり、現在は「スマートマネー構想」として、スマートフォンとau PAY、そしてPontaポイントを中心とした決済・金融サービスの強化に取り組んでいます。


今やスマートフォン1つで住宅ローンから保険・年金まで全てを管理する時代だ



ユーザーをただ自社経済圏に囲い込んで雁字搦めにするのではなく、飽くまでもユーザー自らが選び、使いやすく管理しやすいサービスを目指すというのがKDDIの戦略の根底にあります。

単なる連携に留まらず、例えばPontaポイントを利用した資産運用など、ユーザーが気軽に金融サービスを活用するためのアイデアもさまざまに打ち出してきました。

9月1日からは、au PAYとauじぶん銀行を連携させて1万円以上チャージを行った総勢約3万人に現金最大5万円が当たる「au PAYチャージキャンペーン」も行われます。

通信によって金融サービス群を密に連携させ、使えば使うほどにボーナスの大きなサービスとしていく。
通信企業のポイント経済圏は、さらに巨大な金融経済圏へと進化し始めています。


執筆 秋吉 健