「爽快シビック」登場で振り返る! 風変わりなシビック5選
新型シビックともにユニークなシビックを振り返る
ホンダは2021年6月24日に、通算11代目となる新型「シビック」を世界初公開しました。
1972年に新時代のFFコンパクトカーとして誕生した初代シビックは、優れた経済性や走行性能、クラスを超えた広い室内などが相まって、国内外でヒットを記録。
【画像】「こんなモデルあったっけ?」歴代「シビック」を振り返る(39枚)
「市民の」という車名のとおり、常に時代のニーズにマッチしたベーシックカーというコンセプトのまま、これまで代を重ねてきました。
また、1983年に登場した3代目からは高性能化が一気に進み、レースで活躍するだけでなく「タイプR」に代表されるハイパフォーマンスなモデルもラインナップするなど、スポーツコンパクトカーという一面もあります。
そこで、今回発表された11代目の紹介と共に、国内外の歴代シビックのなかからユニークなモデルを4車種、合せて5車種をピックアップして紹介します。
●新型シビック(11代目シビック)
11代目シビックは、日本では5ドアハッチバックのみが発表され、キャッチコピーは「爽快シビック」です。
外観は現行モデルの「アコード」をダウンサイジングした印象の流麗なクーペフォルムで、逆スラントノーズにも見えるフロントフェイスが特徴的です。
ボディサイズは全長4550mm×全幅1800mm×全高1415mmと、10代目から大きく変わっていません。
搭載されるエンジンは1.5リッター直列4気筒ターボで最高出力182馬力を発揮。このスペックも10代目から継承しており、トランスミッションも同じくCVTと6速MTを設定しています。
10代目のハッチバックではMT比率が約30%とかなり高かったことを受け、11代目にもMTが設定されたと思われますが、いずれにしてもMT派には朗報といえます。
内装では、水平基調のシンプルなデザインのインパネを採用し、エアコンの吹出口をカバーするように設置されたハニカムメッシュが斬新です。
インパネセンターにディスプレイを配置し、メーターは向かって左のタコメーターが表示される部分は液晶で、右のスピードメーターはアナログとなっています。
装備面では安全運転支援システム「ホンダセンシング」に、フロントワイドビューカメラと高速画像処理チップを採用。新たに「トラフィックジャムアシスト」が追加されるなど機能が充実しました。
また、ホンダ車初の装備として、夜間の対向車などに眩しさを与えずに優れた遠方視認性を確保する「アダプティブドライビングビーム」が搭載されます(一部グレードに設定)。
新型シビックは2021年秋に発売予定で、さらに2モーターハイブリッドシステム「e:HEV」を搭載したハイブリッドモデルと、新型「シビックタイプR」の発売を2022年に予定しており、まだまだ話題は尽きません。
●シビックシャトル ビーグル
初代シビックは当初2ドアの2ボックスボディのみでデビューしましたが、次第にボディラインナップを拡充し、5ドアのライトバンや2代目ではライトバンとともにステーションワゴンの「シビック カントリー」をラインナップしました。
そして、1983年にデビューした3代目では、トール系ステーションワゴンの「シビックシャトル」を設定。1987年に4代目にスイッチするとシビックシャトルも2代目が登場しました。
その後、1991年にシビックは5代目となりますがシビックシャトルは従来型のまま継続して販売され、1994年には、RVブームという背景から4WDの特別仕様車「シビックシャトル ビーグル」を追加ラインナップ。
トップグレードではフロントに大型フォグライトを配置したアルミ製グリルガードと、スキッドプレートを装備。外装のカラーリングもフロントバンパーからフェンダーアーチ、ボディサイド、リアバンパーを、車体色とは異なるグレーに塗った2トーンカラーとするなど、当時大ヒットしていたクロカン車をイメージしたドレスアップが施されています。
シビックシャトル ビーグルは充実した装備ながら、価格は149万円(消費税抜き)からと安価に設定されたことで、モデルライフ末期にもかかわらず人気モデルとなり異例のヒットを記録。
シビックシャトル ビーグルは本来なら初代「CR-V」が発売されるまでの場つなぎの役割でしたが、1995年にCR-Vが登場した後も併売され、1996年まで生産されました。
なお、SUV風モデルは歴代シビックシリーズのなかでも、シビックシャトル ビーグルのみです。
●シビック ツアラー
前述のとおりシビックにはかつてステーションワゴンが設定されていましたが、1996年にラインナップから消滅してしまいました。
しかし、欧州ではステーションワゴンの人気が高く、2014年に9代目(日本ではタイプRのみ限定販売)をベースとした「シビック ツアラー」がデビュー。
外観の基本的なデザインは5ドアハッチバックと共通で、抑揚のあるグラマラスな前後フェンダーが印象的です。
また、ボンネット先端からルーフ後端までのラインが美しいフォルムを演出。さらにドアミラーからテールランプまでの斜めのラインとルーフサイドのラインによって、サイドビューをよりスポーティに見せることに成功し、まさにスポーツワゴンというキャラクターとなっています。
エンジンは1.8リッターのガソリンに加え、1.6リッターのターボディーゼルを設定。トランスミッションは5速AT(ガソリン車のみ)と6速MTを設定するなど欧州流です。
2017年に10代目が登場するとシビック ツアラーは廃止され、このスタイリッシュなステーションワゴンは一代限りとなってしまいました。
日本では販売されなかったクーペとタイプRとは?
●シビック Siクーペ
日本のみならず海外でも減少傾向にある2ドアクーペですが、アメリカでは古くからコンパクトサイズのクーペは一定のニーズがあり、ホンダは1992年から現地で開発・生産された「シビッククーペ」を販売していました。
かつて日本でもシビッククーペをアメリカから輸入していましたが、2000年を最後に販売されていません。
その後もアメリカではシビッククーペが引き続きラインナップされ、2016年には10代目シビックをベースにした6代目シビッククーペが登場。
グレードはスタンダードモデルと高性能モデルの「Siクーペ」に大別され、どちらもボディはスピード感あふれるクラウチングフォルムの、流麗かつスタイリッシュなクーペといった印象です。
なかでもSiクーペはブラックのホイールとボディアクセント、ウイング形状のリアスポイラーが装備されるなど、より一層スポーティな外観となっています。
搭載されるエンジンは、174馬力の1.5リッター直列4気筒ターボと158馬力の2リッター直列4気筒自然吸気、そしてSiクーペには205馬力を誇る2リッター直列4気筒ターボを搭載。トランスミッションはCVTと6速MTが設定され、Siクーペは6速MTのみです。
6代目シビッククーペはかなり魅力的なモデルといえましたが、アメリカでもニーズが低下したことから2020年に生産を終了。すでに北米市場向けの11代目セダンが発表され、日米欧同時にハッチバックがお披露目されましたが、アメリカでクーペが登場するかは今のところ明かされていません。
●シビック タイプR スポーツライン
発売とほぼ同時期に受注を終えている現行モデルのシビック タイプRですが、日本だけでなく北米や欧州でも最終モデルは激しい争奪戦が繰り広げられたのは記憶に新しいところです。
この最終モデルでは日本仕様と欧州仕様では細かな装備やグレードが異なっており、欧州仕様では車内で聞こえるエンジン音を走行モードによってオーディオのスピーカーを介して変化させる機能、「ASC(アクティブサウンドコントロール)」が搭載されています。
また、ディスプレイオーディオが標準装備され「パフォーマンスモニター/ログモード/オートスコアモード」などの機能を備え、さまざまなパフォーマンスパラメーターを監視・記録できる、シビック タイプR専用のパフォーマンスデータロガー「Honda LogR」を搭載。
さらに、パフォーマンスはそのままに、控えめな空力パーツと洗練された乗り心地を実現したグレード「シビックタイプR スポーツライン」がラインナップされました。
スポーツラインの外観は、標準モデルに装着される大型リアウイングをローデッキリアスポイラーに変更し、スポーティなスタイリングながら落ち着いた印象です。
タイヤも標準モデルは20インチのコンチネンタル「スポーツコンタクト6」が採用されていますが、シビックタイプR スポーツラインには快適性を重視した19インチのミシュラン「パイロットスポーツ4S」が採用されました。
欧州ではかつてからシビック タイプRの人気が高く、スポーツラインを設定することでアグレッシブすぎないスタイルを好む層のニーズに応えたといえるでしょう。
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11代目の新型シビックが発表され、さらにシビック タイプRの設定も宣言されていることは、ファンにとってうれしいニュースではないでしょうか。
しかし、純粋なガソリンエンジンを搭載したタイプRは、これが最後になるのではとも噂されています。もしくは電動化したタイプRが今後出るのかも疑問視されています。
まだ先のことは不透明ですから、まずは2022年に登場する新型シビック タイプRを待つことにしましょう。