誰も教えてくれなかった…不動産の税金をゼロにする「シンプルな方法」 登記済証と売買契約書はお持ちですか

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ここまで税金が高いなんて

親から相続した土地が1000万円で売れた。それなのに、都内在住の佐藤耕太さん(66歳・仮名)の表情は暗い。

「相続税とは別で、家を売る際に譲渡所得税と住民税、あわせて約190万円も取られたからです。ここまで税金が高いとは思いませんでした」

不動産の所有期間が5年を超える場合でも、譲渡所得税と住民税は合わせて20%もかかる。しかしそんな佐藤さんが、もし「正しい書類」を用意できていれば、この税金はゼロにすることもできた。

まずは、下の表の19、実家の売買契約書だ。

▼夫婦で探し出して得する「書類」、やっておくべき「手続き」

「譲渡所得税はそもそも、不動産を売ったおカネから買った値段を引いた利益にかかる税金です。売買契約書があれば購入額が分かり、その分だけ課税所得から引くことができます。

ところがこの書類がなく、いくらで買ったか分からない場合、取得額は売却額のわずか5%で計算されてしまうのです」(税理士・山中雄太氏)

佐藤さんの相続した土地の購入額は900万円だった。売買契約書があれば課税所得は100万円となり、支払う税金もわずか約20万円で済んだのだ。

実家だけでなく自宅についても、介護施設に入居する際などに売却することになるかもしれない。15・自宅の売買契約書、16・自宅の登記済証(登記識別情報通知)を確実に揃えておこう。

佐藤さんの実家売却に戻る。実はここで別の書類があれば、支払う税金はいよいよゼロになる。

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「老親から相続して名義変更をした際の20・実家の登記費用の領収書と、売却時に支払った仲介手数料の領収書です。相続手続きや売却にかかった経費も、課税価格から引けるのです」(山中氏)

登記には約20万円、仲介手数料として約40万円を支払っていた。これらの書類が揃っていれば、佐藤さんが支払う税金はゼロにできたのだ。

老親が元気なうちから準備を

不動産の税金を圧縮する方法は他にもある。相続した実家が'81年5月31日以前に建てられた場合、譲渡所得税を下げる別の特例も使える。

「いわゆる『空き家特例』です。市区町村に申請し、亡くなった老親がその家に住んでいたことを証明する『被相続人居住用家屋等確認書』を発行してもらう。

この書類と、老親の除住民票などをあわせ、売却翌年に確定申告をする。これだけで、譲渡所得税の課税価格から3000万円も控除されるのです」(宅地建物取引士・逆瀬川勇造氏)

空き家特例が使えるのは、老親が亡くなってから3年以内だ。不動産の売却には時間がかかるので、静観する暇はない。

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しかも'23年以降は、相続登記を3年間放置した人は10万円以下の過料を科されることが決まっている。

不動産を登記変更しないまま放置しないように、老親が元気なうちに21・実家の固定資産評価証明書を確認しておく。これを見れば、老親がどんな不動産を持っているのかを把握できる。

「ただし、私道や非課税の土地は固定資産評価証明書だけでは把握できません。

老親に委任状を書いてもらい、役所で名寄帳を取得しましょう。これで老親がその市区町村に持っている不動産を洗い出すことができます」(ファイナンシャルプランナー・深野康彦氏)

『週刊現代』2021年4月10・17日合併号より