元貴乃花親方(花田光司氏)

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 2月2日発売の『週刊女性』(主婦と生活社)で、父の貴乃花光司氏によるモラハラや暴力があったことを告白した花田優一。被害者である優一に同情が寄せられそうなものだが、実際は賛否が分かれた。

 ネットでは、「本当かどうか信用できない」「この人の言うことは胡散臭い」「父親のおかげで有名になれたのに悪く言うなんて」など、優一への批判の声も多く寄せられている。モラハラやDVについても、「どこの家庭にも事情はある」といった具合に深刻にとらえていない意見もあった。

 もともと優一の評判は芳しくなく、靴職人やタレント、歌手などさまざまな分野の実力が「貴乃花の息子」という知名度を超えることがあまりなく、仕事に対する姿勢や態度などは批判のタネになっていた。これらが優一の評判を落とす一因になっていることは否めない。しかし、こうした優一の行動には、これまでの家庭環境や人間関係が影響している可能性がある。

 そもそも、人は生まれながらにして考え方や人格が固定されているわけではない。人格というものは遺伝的な気質に加え、親子関係を中心とする家庭環境や教育、社会での人間関係など、さまざまな要素が影響して形作られるものだ。

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 相撲業界で偉業を成し遂げ、日本中が“フィーバー”になるほどの大変な人気を得た父親を持ち、家族が相撲部屋を運営するという特殊な環境で生まれ育った優一。良くも悪くも幼少期から多くの注目を浴び、2018年に両親が離婚するまでの間、心理的に影響を受けやすい少年期に、両親の不仲を経験している。不仲な両親のもとで育つ子は自己肯定感が低くなりやすく、精神的に不安定な状態になりやすいと言われている。

 これまでに父との不仲が噂されたこともあった優一だが、父に対して自身のブログで強い敬愛の念を示したこともあった。ところが一転、今回は父の評判を落とすような告白をした。このように、父親に対して葛藤する不安定な心理状態を生み出していることは、これまでの父との関係性が優一の心理に何かしら大きな影響を与えたことを示している。

 また、二世タレントといえば、親との比較や「七光り」という偏見など、とかく親の影がついてまわり、個人の実力や努力がなかなか認められにくい部分がある。努力や実力を認めてほしい気持ちが強いが、手応えを感じず満たされない状態では、自己肯定感を養いにくいといえるだろう。自己肯定感の低さが表れるとされている数ある特徴の一つに「他人に対して批判的」というものがあるが、優一の「マスコミ嫌い」に始まり、他人に対して批判的な印象を与えているところからも、その傾向がうかがえる。

 同じ二世タレントでも、七光りによる知名度を実力が上回り、本人が親の名声の恩恵を受けていると認められる謙虚さがあれば、世間も嫌悪感を抱きにくい。しかし、自分の実力が世間から認められない理由を自らの「七光り」のせいにしたり、優一のように少しでもごう慢な印象を与えることがあった場合、世間から「勘違いしている」と反感を持たれやすい傾向がある。

 優一が告白した内容にどれほどの信憑性があるのかは本人と家族にしか分からないが、いずれにしても優一は今回、父・貴乃花に向けて何らかのシグナルを発した形だ。

 これを受け、父は果たしてどう対応するのだろうか。深い愛をもって息子の声に耳を傾けるのか、それとも「煩わしい」と突き放してしまうのだろうか。息子のメンタルにとって前者が好ましいことは言うまでもないが。

文:心理カウンセラー  吉田明日香