補正下着のD2Cブランド、シェイパーミント(Shapermint)は、8月の月間メディア支出の約10%を、試験的にテレビCMへ投下した。

これにより、「自然に補助する(native and aided)」というブランド認知の拡散だけでなく、消費者の検討を後押しできたと、シェイパーミントのCMOマッシミリアノ・ティロッチ氏は述べる。さらに、テレビキャンペーンを実施以来、同社は顕著に拡大していると付け加えた。そのため、2018年に創立された、このD2Cの補正下着マーケットプレイス企業は、11月も引き続きテレビCMへの投資を増やしていくという。

「テレビにブランドが登場するとき、視聴者は異なる視点でブランドを捉える」とティロッキ氏は、同社にとってのテレビ広告の重要性について述べる。「全体予算において、テレビが大部分を締めているわけではない。だが、消費者がブランドをどのように認識するかという点では、大きな意味がある。それが成功への一要素だ。我々はまた、リーチを増やした。直近のキャンペーンでは、当社独自のリーチを3000万以上獲得している。

8月のテレビCMテストで、シェイパーミントはTLCやホールマーク(Hallmark)といったライブテレビチャンネルにフォーカスした。

米Digidayが以前報じたように、シェイパーミントはデジタル・マーケティングに月間300万ドル(約3億円)から500万ドル(約5億円)を費やしており、彼らのメディア支出の約80%がFacebookとインスタグラムに使われている。今後も、全体的にはこうした方向性を継続し、予算支出が配分される予定だが、選挙後にはテレビ広告を拡大し、またピンタレスト(Pinterest)とYouTubeへの支出増も視野に入れているという。

シェイパーミントだけではない



ここ数カ月、これまでFacebookを中心にマーケティングを行ってきたD2Cブランドが、チャネルの多様化を試みている、とマーケターハイヤー(MarketerHire)のCEO、クリス・トイ氏は語る。というのも、ひとつのチャネルの「成果に頼りすぎる」ことに、投資家たちが不安を感じているためだという。D2CブランドにとってテレビCMは、選択肢のひとつとして考えられているのだ。

「テレビCMについて、D2Cブランドから問い合わせが来ることが増えた」と、トイ氏は述べる。しかし、問い合わせは増えていても、実際にはテレビCMの活用を踏みとどまるブランドもいる。一方、移行を試みて積極的にアクションしているブランドたちのなかには、「いまは(通常よりも)安い在庫が存在しているため」、良い取引ができているという。

アウェイ(Away)やワービーパーカー(Warby Parker)が、ブランドとして成熟する過程でそうしたように、テレビCMの活用は、D2Cブランドが成長するために良くあることだ、とトイ氏は述べる。

社会情勢を考慮したクリエイティブ



また、最近シェイパーミントは、社会情勢を反映させるために、プロダクトの売り込みと広告メッセージを全体的に修正をしている。

大規模な結婚式やパーティが、当分延期になっているなか、シェイパーミントは、彼らのプロダクトのなかでも快適さを重視した、ブラジャーやレギンスを売り込むつもりだ。これは、コロナ禍による自粛生活で、消費者のニーズが変化したことに対応するのが狙いだった。

広告のメッセージ自体も、より現状を反映させ快適さを強調したものとなっており、ブラジャーやレギンスといったプロダクトがフィーチャーされている。また、人が多く映り込んでいるクリエイティブは、自宅での小規模な集まりを写したものに差し替えた。

「人々は快適さを求めている。身体をサポートしてもらうことと、快適さを人々が求めていること我々は理解している。プライシングは別として、それが私たちが注目しているトレンドだ」。

[原文:‘See the brand in a different way’: Why Shapermint is planning to scale television advertising in November]

KRISTINA MONLLOS(翻訳:塚本 紺、編集:村上莞)