宇宙へ戻っていく流れ星を観測。この正体は?

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9月22日に撮影されたアースグレイジング火球とその軌跡(Credit: Global Meteor Network; D. Vida, P. Roggemans, J. Dörr, M. Breukers, E. Harkink, K. Jobse, K. Habraken)


「流星(流れ星)」は、地球の大気に突入した微小な天体(塵〜小石程度の大きさ)が気化して光を放つ現象です。特に明るいものは「火球」とも呼ばれています。多くは大気中で消滅しますが、なかには消滅せずに隕石として地上へ到達するものがあり、国内でも今年の7月に千葉県習志野市などに落下した隕石が見つかっています。


ただ、ドイツ北部やオランダで現地時間2020年9月22日の未明に観測された流星は、大気圏で消滅することも地上へ落下することもなく、再び宇宙へと戻っていきました。現地の流星観測ネットワーク「Global Meteor Network」によって撮影された流星の動画をESA(欧州宇宙機関)が紹介しています。


このような流星は「アースグレイジング火球」(英:Earth-grazing fireball、Earthgrazer)と呼ばれていて、これまでにも度々観測・撮影されてきました。ESAによると、今回観測されたアースグレイジング火球の最低高度は約91kmとされています。



▲2014年5月にアメリカで撮影されたアースグレイジング火球の動画▲


Global Meteor Networkに携わるウェスタンオンタリオ大学のDenis Vida氏によると、大気圏突入時の速度は秒速34.1kmに達していたといいます。国際宇宙ステーション(ISS)の飛行速度は秒速約7.7kmなので、その4倍以上の速さです。ESAによると、数多くの流星に対してアースグレイジング火球が占める割合は少ないものの、年に数回程度は発生しているとのことです。



 


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Image Credit: Global Meteor Network; D. Vida, P. Roggemans, J. Dörr, M. Breukers, E. Harkink, K. Jobse, K. Habraken
Source: ESA / NASA
文/松村武宏