2020年6月に発売した「タフト」。価格は135万3000円〜173万2500円(写真:ダイハツ

メーカー、車格を問わず人気を維持し続けているクロスオーバーSUV。しかし、軽自動車というくくりで見ると、今まではスズキ「ハスラー」くらいしか選択肢がなかった。そこへ、満を持してダイハツが投入したのが「タフト」である。


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メーカーとしては、ハスラーを直接的なライバルとは考えていないというが、購入するユーザーにしてみれば、待ちに待ったハスラーの対抗馬であることは、間違いない。

タフトという名前こそ1970年代に存在した小型クロスカントリー車と同様だが、名前以外の関連性はまったくなく、スーパーハイトワゴンの「タント」に続いて、DNGAプラットフォームを採用した2車種目の軽自動車となる。

ライバルにない「大型ガラスルーフ」を全車に装備

タフトの特徴的な装備は、前席上に備わる大型ガラスルーフの「スカイフィールトップ」だ。これはグレードを問わず標準装備となるもので、開閉こそしないものの開放感は抜群。アクティブに使うユーザーの多いクロスオーバーSUVとは、親和性の高い装備と言える。ハスラーにはオプションでも装備できないアイテムだ。


「スカイフィールトップ」により開放感のある室内(写真:ダイハツ)

また、後部座席は荷室スペースとして活用することを想定して作られており、リアシートを倒すと完全にフラットな空間が生まれるほか、取り外しも可能なフレキブルボードがラゲージルームに標準装備され、荷室をアレンジして使うことができるようになっている。

もちろん、乗用車であるから、リアシート自体の形状や座り心地も十分なものが備わっているが、1〜2名乗車で使われることが多い軽自動車のキャラクターを逆手に取ったアイデアが盛り込まれた形だ。

メカニズム面では、ダイハツ車として初めて、全グレードに電動パーキングブレーキが採用されたことがトピックだ。

これによりブレーキホールド機能が備わって、渋滞中にブレーキペダルを踏み続ける必要がなくなるだけでなく、一部グレードに備わるACC(アダプティブクルーズコントロール)使用時に停止保持もしてくれるようになった。ライバルのハスラーは足踏み式サイドブレーキとなっているため、タフトが一歩リードしていることになる。

タフトに用意されるグレードは、価格の高い順に「Gターボ」(160万6000円)、「G」(148万5000円)、「X」(135万3000円)の3タイプ。エンジンは、その名の通り「Gターボ」がターボエンジンで、ほかの2グレードはNA(自然吸気)エンジンとなり、ミッションは全車CVTとなる。

駆動方式はFF(前輪駆動)のほか4WDも用意されるが、本格的な悪路走行を想定したものではなく、軽乗用車として一般的なスタンバイ式となる。ただし、空転したタイヤに個別でブレーキをかけてほかのタイヤにグリップ力を伝える「グリップサポート制御」が、2WDを含む全グレードに標準装備されるので、安心感は高い。

グレードは3つとなるが、「Gターボ」と「G」はエンジンが異なる点のほかは、ターボ車にACCとレーンキープコントロールが標準装備(Gでは4万4000円のオプション)となる点以外は、ほとんど同一の装備となる。

一方「X」は、アルミホイールや内装の加飾が省かれ、ステアリングやシフトノブがウレタンに、メーターのカラーインフォメーションディスプレイもなくなるといった明らかな廉価版で、ACCなどはオプションでも装備できない。「G」との差額は13万2000円だが、省かれる装備を考えると価格以上の差がある印象だ。

エンジンはターボか? NAか?

「Gターボ」と「G」の価格差は12万1000円だが、「Gターボ」は4万4000円のスマートクルーズパック(ACCとレーンキープコントロールのセット)が標準装備となるため、実質的な価格差は7万7000円ということになる。つまり、7万7000円でターボエンジンが手に入る計算になるのだが、実は「Gターボ」のCVTミッションは、ベルト式に高速域用のスプリットギアを追加した新開発の「D-CVT」となるところにも注目したい。

このD-CVTは、先行してタントには搭載され、高い伝達効率でCVT特有のモッサリ感がないと好評のもの。タントではNAエンジンモデルもD-CVTとなっているが、タフトはボディが軽量なこともあってNAエンジンモデルには採用が見送られてしまった。

そのため、タフト本来の走りの実力を堪能するのであれば、D-CVTを搭載した「Gターボ」をオススメしたいところ。もちろん普通に走ればいいという人はNAエンジンモデルでも問題はないが、できれば乗り比べたうえで結論を出してほしい。

タフトに用意されるオプションは、それほど多くない。前述した「G」のみ選択可能なスマートクルーズパックのほか、スマホ連携ディスプレイオーディオが2種類(6.8インチ:5万5000円、9インチ:8万2500円)、真上から見たような映像が見られる「純正ナビ装着用パノラマモニター対応カメラ」が3万3000円、駐車支援システムが備わる「スマートパノラマパーキングパック」が7万1500円、そしてスマートパノラマパーキングパックとディスプレイオーディオのセット(6.8インチ:9万9000円、9インチ:12万6500円)といったところだ。

「G」を選ぶなら「スマートクルーズパック」はマストで選んでおきたいが、それ以外は必要に応じて選べばいいだろう。ただし、パノラマモニター対応カメラや駐車支援機能は、社外品のナビやディスプレイを装着した場合、動作は保証しないとなっているので、社外ナビなどを検討している人は注意してほしい。

タフトならではの「スタイルパック」

ほかにも、外観にアクセントをプラスするスタイルパックと呼ばれるオプションも設定されている。これはブラックパック(1万1000円)、クロムパック(1万6500円)、ホワイトパック(5500円)と名付けられ、ドアミラー(クロムパックを除く)、ドアノブ、ホイールがそれぞれのカラーになるというもの。

どれも「X」では選択できず、クロムパックが「Gターボ」のみ、そのほか2つは「Gターボ」と「G」で選択できる。価格も安く、気軽に選べるオプションだが、ホワイトパックのみ標準のアルミホイールからホワイトカラーのスチールホイールにグレードダウンとなる。


ホワイトパック装着車(写真:ダイハツ)

ドレスダウンというカスタマイズ手法もあるので、あとからスチールホイールを買うよりはお得ではあるが、アルミホイールが手元に残るわけではないので、よく考えてから選択したいオプションだ。

なお、タフトのタイヤサイズは最低地上高を稼ぐために165/65R15と軽自動車では馴染みのない大径のものを採用している。そのため、軽自動車からの乗り換えだとしても、それまで使用していたスタッドレスタイヤなどは流用が利かないので注意したい。

グレード自体は3タイプだが、駆動方式やオプションを考慮すると、バリエーションの多いタフト。価格や装備内容はもちろんだが、スタイルパックで好みのデザインから選ぶという方法もあるだろう。