誰にも渡したくなかった役! - 映画『タイトル、拒絶』より
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 飛ぶ鳥落とす勢いの若手実力派女優・伊藤沙莉が「(この役は)誰にも渡したくなかった」と語るほど意欲的に取り組んだ映画『タイトル、拒絶』の公開日が11月13日に決まり、彼女の熱演が確認できる予告編が公開された。

 それぞれに事情を抱えながらも、力強く生きようとするデリヘルの女性たちの姿を描いた本作。伊藤が演じたのは、体験入店に来たもののいざという時に怖気づいてホテルから逃げ出し、デリヘル嬢たちの世話係になった主人公・カノウだ。昨年の第32回東京国際映画祭「日本映画スプラッシュ」部門でワールドプレミア上映を飾り、伊藤は宝石の原石のような輝きを放つ若手俳優に贈られる「東京ジェムストーン賞」を見事受賞していた。

 ついに決まった公開に、伊藤は「ようやく再び作品を沢山の方々に観ていただける機会が巡ってきました。必死に、もがきながら、なんとか生きているという点では、今こういう時代だからこそ、より多くの方々に観ていただきたいなと思います」とコメントした。

 舞台となるのは、雑居ビルにあるデリヘルの事務所だ。店で一番人気のマヒル(恒松祐里)を見ながら、カノウが思い出すのは小学生の頃にクラス会でやった「カチカチ山」。「みんながやりたくて取り合いになるウサギの役。マヒルちゃんはウサギの役だ。みんな賢くて可愛らしいウサギにばかり夢中になる。性悪で嫌われ者のタヌキの役になんて目もくれないのに」。そんなある日、若くモデル体型の女性が入店してきたことをきっかけに、彼女たちの世界は一変。店の中での人間関係やそれぞれの人生が、ガタガタと音を立てて崩れていくことになる……。

 メガホンを取ったのは、新進気鋭の山田佳奈監督。2013年に自ら手掛けた同名舞台を映画化した。山田監督は「とても思い入れのある作品が遂に公開という運びとなりました。去年の冬に撮影をしたのが嘘のように状況も大きく変化し、映画の可能性を自分自身考える日々が続きましたが、私に出来ることは人の生活における不安や遣る瀬無さに、そっと手を添えることではないかと思っています。出演者、スタッフ、すべての人が全力でクリエイティブに関わって下さった作品が公開になること、本当に誇らしく思います」と語っている。(編集部・市川遥)

映画『タイトル、拒絶』は11月13日より新宿シネマカリテほか全国順次公開