イギリス・ロンドンのウィンブルドンで開催されるテニスの4大国際大会のひとつであるウィンブルドン(全英オープン)の2020年度大会が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で中止となりました。開催中止に続き、主催者のオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は「総額1000万ポンド(約13億5000万円)の大会賞金を、参加する予定だった620人の選手に分配する」と発表しています。

AELTC Announces Prize Money in Lieu of Championships 2020 Alongside Initial Decisions for The Championships 2021 - The Championships, Wimbledon 2020 - Official Site by IBM

https://www.wimbledon.com/en_GB/news/articles/2020-07-10/aeltc_announces_prize_money_in_lieu_of_championships_2020_alongside_initial_decisions_for_the_championships_2021.html

AELTCは2020年4月にCOVID-19感染拡大を受け、2020年のウィンブルドン選手権の開催を中止すると発表しました。それから約3カ月が経過した2020年7月10日、AELTCは新たにCOVID-19パンデミックに影響を受けた人や地域をサポートする取り組みを発表しました。AELTCはCOVID-19により大きなダメージを受けた地域などの復興に取り組む慈善団体を支援するために120万ポンド(約1億6000万円)の基金を設立し、地域社会に対して食事の無料配布などといった支援を行うとしています。さらに、世界中のテニス統治機関らが主導するテニス選手救済プログラムや車椅子テニス基金への寄付を行うことも明かしました。

加えて、AELTCは2020年のウィンブルドン選手権に出場する予定であった620人の選手に対して、総額1000万ポンドの賞金を均等に分配する予定であることも発表しました。



賞金の分配はテニスの世界ランキングに基づいて行われており、ウィンブルドン選手権の予選に出場したであろう224選手に対してはそれぞれ1万2500ポンド(約170万円)を分配。シングルスのメイントーナメントに出場したであろう256選手にはそれぞれ2万5000ポンド(約340万円)、ダブルスのメイントーナメントに参加したであろう120選手にはそれぞれ6250ポンド(約84万円)が分配されます。さらに、車椅子テニスの大会に出場する予定だった16選手にはそれぞれ6000ポンド(約80万円)が分配され、クワッドクラスの車椅子テニスに出場する予定だった4選手にはそれぞれ5000ポンド(約70万円)が分配されます。



AELTCの最高経営責任者であるリチャード・ルイス氏は、「この数カ月の不安定な情勢は、選手を含む多くのテニス関係者に不安をもたらしました。選手の多くは新型コロナウイルスのパンデミックにより経済的困難に直面したため、世界ランキングに基づきウィンブルドンで賞金を獲得することを目指している選手もいたはずです。我々の保険契約により、選手に対して大会中止の影響を乗り越え、これまで行ってきた努力への対価として大会から賞金を支払うことができるようになりました。賞金を支払われることとなる選手たちは本来はウィンブルドン選手権に参加することとなったはずの選手たちです」と述べています。

加えて、AELTCは2020年のウィンブルドン選手権で働く予定だった英国テニス協会(LTA)の職員や、国際審判に対しても報酬の支払いを行うと発表しています。



AELTCの決定に対して、元世界ランキング1位のキム・クライシュテルス選手は自身のTwitter上で「素晴らしいニュースです!素晴らしい対応で常にテニス界のリーダーとして振る舞ってきました。よくやったウィンブルドン!来年の出場が待ちきれません」とツイートしています。