毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか。読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、4月にアクセス数の多かったベスト20冊を、同サイトの編集部が紹介する――。
写真=iStock.com/Sergey Tinyakov
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Sergey Tinyakov
第1位:『言語化力』(三浦崇宏著、SBクリエイティブ)
第2位:『人は話し方が9割』(永松茂久著、すばる舎)
第3位:『新型コロナウイルスの真実』(岩田健太郎著、ベストセラーズ)
第4位:『面白いとは何か? 面白く生きるには?』(森博嗣著、ワニブックス)
第5位:『教養の書』(戸田山和久著、筑摩書房)
第6位:『身銭を切れ』(ナシーム・ニコラス・タレブ著、望月衛監訳、千葉敏生訳、筑摩書房)
第7位:『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(堀内都喜子著、ポプラ社)
第8位:『「畳み人」という選択』(設楽悠介著、プレジデント社)
第9位:『NOを言える人になる』(鈴木裕介著、アスコム)
第10位:『片づけられない自分がいますぐ変わる本』(大嶋信頼著、あさ出版)
第11位:『日本でいちばん大切にしたい会社7』(坂本光司著、あさ出版)
第12位:『ビジネスエリートがなぜか身につけている 教養としての落語』(立川談慶著、サンマーク出版)
第13位:『世界一ワクワクするリーダーの教科書』(大嶋啓介著、きずな出版)
第14位:『だから僕は、ググらない。』(浅生鴨著、大和出版)
第15位:『SUPER MTG スーパー・ミーティング』(スティーヴン・G・ロゲルバーグ著、桜田直美訳、サンマーク出版)
第16位:『社長って何だ!』(丹羽宇一郎著、講談社)
第17位:『世界はデザインでできている』(秋山具義著、筑摩書房)
第18位:『哲学の世界へようこそ。』(岡本裕一朗著、ポプラ社)
第19位:『無形資産が経済を支配する』(ジョナサン・ハスケル/スティアン・ウェストレイク著、山形浩生訳、東洋経済新報社)
第20位:『決定版 リブラ』(木内登英著、東洋経済新報社)

※本の要約サイト「flier」の有料会員を対象にした、2020年4月の閲覧数ランキング

■言いたいことを言えるようにする「型」

三浦崇宏『言語化力』(SBクリエイティブ)

今月の1位は『言語化力』でした。近年SNSの登場などにより、自分の考えを言語化する機会が増えています。そのなかで、「言いたいことを表現する力がない」「言いたいことはあるものの、どう伝えればいいのかわからない」と感じる機会は少なくないでしょう。

そんなもどかしさを抱えている方におすすめなのがこちら。本書によると、言語化するうえで重要なのは「型」。自分の意見を言いたいのに言えない人でも、決まった型を用いることで、言語化できるようになるといいます。

自分の考えは、どうやったら人に刺さるように伝えられるのか。そのためのヒントが詰まった一冊です。非常に読みやすく、スッと頭に入ってくるのもポイント。読めばちょっとした言葉や発信への心がけが変わるはずです。

■大切なことを、適切に話せる人になる

永松茂久『人は話し方が9割』(すばる舎)

第2位は『人は話し方が9割』です。先月のランキングでも第3位に入っていました。

本書は営業マン向けでもなければ、プレゼンテーションのコツについて書かれた本でもありません。むしろ「大切なことを適切なタイミングで話せる人になりたい」「思っていることを正直に言えない」「沈黙の時間が怖い」などといった、日常におけるリアルな悩みを解決してくれる本です。

社会人になると、コミュニケーションスキルの重要性を身に染みて感じるはず。一方で、自分の話し方が適切かどうか、見直す機会は多くありません。自分の話し方を振り返るうえで、本書はぴったりと言えるでしょう。コミュニケーションのとり方を見直し、家族や上司、部下との関係性を円滑にするために読みたい一冊です。

■感染症とどう向き合えばいいのか

岩田健太郎『新型コロナウイルスの真実』(ベストセラーズ)

第3位は『新型コロナウイルスの真実』です。本書は、感染症専門医である岩田健太郎氏が、感染症に対してどう対応するべきかをまとめたものです。未知の感染症にさらされると、どうしても社会はパニック状態に陥ります。そのとき重要なのは、情報や知識、事実をつかもうとする姿勢です。

「これがすべて正しい」と特定の情報を盲信するのではなく、専門知を尊重しながら、情報から適切に距離を取ることの大切さが求められます。本書は限られた情報のなかで、少しでも適切に行動することを促してくれるでしょう。

 

■肩の力を抜いて、「教養」が学べる

戸田山和久『教養の書』(筑摩書房)

続いて、4位以下から、注目の書籍をご紹介します。

第5位は『教養の書』。本書のターゲットは中学生〜大学生とされていますが、大人こそ読むべき本でしょう。「教養」とついた本は数多くありますが、「そもそも教養とはなにか」「なぜそれが必要なのか」という問いに、しっかり答えてくれる本はなかなかありません。本書はそうした疑問に対して真摯に答えていますし、「エンターテインメントをめざして書いた」というだけあって、読んでいて単純におもしろい。肩の力を抜きながら、楽しく「教養」について学べます。

教養とは、単純に知識を身につけることにあらず。豊かな人生を歩み、人格を磨き上げていくことにこそ、その価値があります。自粛続きで気が滅入りがちな状況だからこそ、読む価値が高まっている一冊と言えます。

■午後4時には仕事を終える国の働き方

堀内都喜子『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』(ポプラ社)

第7位は『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』。フィンランドといえば、教育や福祉制度が整っていることで知られています。事実、フィンランドは国連の世界幸福度ランキングで3年連続の第1位を獲得しており、一人あたりのGDPも日本より高いです。それにもかかわらず、タイトルのとおり、ほぼ全員が午後4時に退勤しています。

フィンランドの習慣を、日本にそのまま適用するのは難しいでしょう。しかし残業が常態化する日本の企業が、フィンランドから学べることはいくつもあるはずです。

フィンランドでは新型コロナウイルスの流行以前から、在宅勤務の割合が3割でした。また、父親の8割が育休をとっています。今後の働き方について考える機会が増えている今、有益な知見が得られる一冊です。

■アイデアを実現する「畳み人」のすごさ

設楽悠介『「畳み人」という選択』(プレジデント社)

最後にご紹介するのは、第8位『「畳み人」という選択』です。多くの場合、脚光を浴びるのは壮大なアイデアを語るリーダーですが、彼らのアイデアを実現へと導いていく「畳み人」がいなければ、優れたアイデアでもけっして結実しません。

本書はそんな「畳み人」としてのキャリアを開花させる方法を記したものです。イノベーションが求められる現在、どんな業種でも「畳み人」のニーズは高まるばかり。また、目の前のアイデアを畳むうえで磨かれた技術や人とのつながりは、「本当にありたいこと」を実現する際にも大いに役立ちます。

「畳む技術」は、ある意味で究極の仕事スキルです。「畳み人」としての仕事哲学や実際の仕事の進め方、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルを身につけたければ、ぜひ本書をご一読ください。

前述したように、2カ月連続で『人は話し方が9割』が上位にランクインしました(第3位→第2位)。第1位の『言語化力』と合わせて、コミュニケーションを主題とした書籍が上位を占めたことになっています。その他、『哲学の世界へようこそ。』(第15位→第18位)も先月から引き続き読まれています。来月はどのような本が多く読まれるのか、注目です。

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(flier編集部)