Amazonは2020年3月、生活必需品ではない商品の倉庫への受け入れの一時停止を決め、多くの販売業者は不安のなかに置き去りにされた。このことが、不満を感じている販売業者にイーベイ(eBay)やウォルマート(Walmart)、ターゲット(Target)、Googleのようなほかのマーケットプレイスが取り入る新たな機会を提供している。

Googleは4月第4週に、Googleショッピング(Google Shopping)上での販売業者の販売手数料を無料にすると発表した。販売業者はこれまで、クリック単価(CPC)ベースで課金されていた。Googleはさらに、販売業者がGoogleショッピングにペイパル(PayPal)アカウントを簡単にリンクできるようにするとも述べている。

Googleはこの発表を、実店舗を閉鎖した小売店を支援するために、同社がすでに取り組んでいる機能を進化させる決断として位置づけている。だが、この決断は、売り上げのほとんどをAmazonから得ている販売業者に、Googleショッピングにも製品を出してみようというインセンティブを与えることも明らかだ。

Amazonに依存しない「新常態」

米国では長年、顧客ベースでも、販売業者がビジネスを行うために提供しているサービスの数でも、Amazonに匹敵するeコマースのマーケットプレイスは存在しなかった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、Amazonに依存しすぎることの新たな危険性がいくつか浮き彫りになってきた。「フルフィルメント by Amazon(FBA)」に依存している生活必需品以外の商品の販売業者のなかには、ほかのフルフィルメント機能を構築していないところや、Amazonが一時的にでも出荷を停止してしまうと製品を顧客に届ける方法がなくなってしまうところがあった。eコマース解析企業マーケットプレイスパルス(Marketplace Pulse)によると、米国におけるAmazon販売業者の上位1万社の80%がFBAを利用しているという。

新しい販売業者を勝ち取るために、各マーケットプレイスは、専用の顧客サービスのように、Amazonが提供できない独自のメリットを販売業者に提供できるかに賭ける必要がある。だがまずは、自社のプラットフォームに十分な数のオーディエンスがいて、Amazonにフォーカスを絞らなくても充分な売り上げを得られると、販売業者に確信させなければならない。それに関しては、簡単な答えはない。

パフォーマンスマーケティングエージェンシーのティヌイティ(Tinuiti)で戦略的マーケットプレイスサービス担当シニアディレクターを務めるエリザベス・マーステン氏は次のように語る。「我々のクライアントのなかには、Amazon以外には何も設定せず、FBAに頼り切っていて、そこが閉鎖してしまうと在庫品の持っていき場がなくなるところがいくつかある。この状態が長く続けば続くほど、私は……Amazonに依存しない、まったく別の『ニューノーマル』が生まれてくるだろうと期待している」。

Googleショッピングの苦悩

Googleショッピングは長年、販売業者と消費者の両方を獲得しようと苦労を重ね、何度もリブランドを繰り返してきた。インフォメーション(The Information)は、まだGoogleエクスプレス(Google Express)と呼ばれていた2018年当時のGoogleショッピングの売上は10億ドル(約1065億円)だったのに対し、同年のAmazonの製品売上は1420億ドル(約15兆円)だったと報告している。2019年にGoogleエクスプレスをGoogleショッピングにリブランドしたとき、Googleは小規模・中規模の小売業者の獲得に焦点を合わせはじめるが、一方でセフォラ(Sephora)やコールズ(Kohl’s)、ペットスマート(PetSmart)のような大手のリテーラーは去って行った。

Googleは、これまでも買い物をしたい人が製品を検索する場所であるとしても、販売の多くをAmazonに奪われ続けている。

マーケットプレイスパルスの創業者、ジュオザス・カジウケナス氏は電子メールの取材に応じ、「何かを買いたいときにGoogleを思いつく顧客はいない。17年にも及ぶこれまでの努力があったとしてもだ。これについて彼らはなんとかする必要がある」と書いている。

Googleが保有する独自の機会

ティヌイティのマーステン氏は、特に今回発表された変更によってより多くの販売業者がこのプラットフォームで販売するようになるとしたら、ショッピング行動についてAmazonより良い解析とデータを業者に提供する独自の機会がGoogleにはあると述べる。マーステン氏はGoogleのショッピングアクションズ(Shopping Actions)プログラムを例に挙げた。このプログラムでは、買い物客がGoogleの複数のプロパティを通じて共通カートを作れるようになっている。そこは、Amazonでは得られないショッピング行動へのインサイトを販売業者が手に入れる場となる。

「クライアントが新しいマーケットプレイスを試そうとするときはいつでも、Amazonではないけれど問題ない、という説明している。柔軟性を持ち、期待値をコントロールしなくてはならない」と、マーステン氏は述べた。

Anna Hensel(原文 / 訳:ガリレオ)