著名人の恋愛事情やモテの秘密を知りたい…! そんなゴシッピーな魂胆でスタートした連載企画「モテ凸」。

今回は、さまざまな“指南”が「勉強になる」と話題のAV男優・しみけんさんに、女性遍歴やモテるための理論を聞いてきました。

うかがうことができたのは、最前線で戦いつづけてきたレジェンドならではの「心のコネクト」「ビーチフラッグ理論」といった恋愛のルール。

徹底分析してくれた「講義」をお楽しみください!

〈聞き手=中山宏太郎〉


しみけん】1979年生まれ。1998年に雑誌『Badi』でモデルデビュー。その後AV男優に。出演作品は1万本以上、経験人数も「1万人以上」とのこと。趣味はクイズと筋トレ

以前は見栄ばかり張っていて、魅力的な人ではなかったというしみけんさん

しみけんさん:
よろしくお願いします! 新R25の「モテ凸」、いつも読んでましたから楽しみです。

中山:
ありがとうございます。

「経験人数1万人以上」というしみけんさんですから、やっぱりめちゃくちゃモテてきましたか?

しみけんさん:
いや、昔はモテてなかったですね。相手への思いやりが足りてなかったり、見栄を張っていたり。ダメなところがたくさんあったと思います。


うまくいってなかった時代を思い出すしみけん先生

しみけんさん:
(最初の奥さんと)離婚したときに、すごい高いスポーツカーを買って、ナンバーを「1」にしてみたんですよ。

「助手席に誰を乗せたいかな?」と考えて、お世話になったマツコ・デラックスさんを誘ったんです。

マツコさんとお会いして車を見せて「こんな車に乗れるようになったのか」と褒められるかなと思ったら…「お前みたいなバカがこういう車に、こんなバカなナンバーつけるんだな!」ってバッサリ言われました。

中山:
強烈な一言ですね…

しみけんさん:
仕事の関係者からは「しみけんさんがこういうスポーツカーに乗るのって、後輩に夢を与えてます!」と言われたんですけど、そのとき「それってスポーツカーが与えてる夢なんじゃないか?」「僕自身には魅力がないってこと?」って考えだしちゃって

そのあたりから、「モテる」とか「魅力がある」ってどういうことなんだろう?ってメタ視点で考えるようになりました。


ちなみにマツコさんは、ゲイ雑誌でモデルをやっていたしみけんさんに「AV男優になれ」と背中を押した恩人だそうです

モテの基本は「心のコネクト」。訓練次第で誰でもできる!

中山:
そこからしみけんさんが考えてきた、モテる方法はどんなものなんでしょう?

しみけんさん:
相手と心がつながっている状態になること。

僕はこれを「心のコネクト」って言ってるんだけど。

たとえばセックスしているときでも、心のコネクトができていれば、お互いに求めていることがわかるんです。言葉を交わさなくても、頭の中に相手の考えがスッと入ってくる感覚です。

中山:
そんな境地があるんですね。心のコネクトをするには、どうすればいいんですか?

しみけんさん:
これは、皆さんも鍛えればできるようになります

どうやったらコネクトできるか?って考えながら「観察」と「体感」を繰り返すこと。そのアンテナを張りながら、場数、経験を積んでいくんです。

中山:
難しいですね…具体的なテクニックなどはないんですか?

しみけんさん:
「心のコネクト」は感覚なのでテクニックはありませんが、あえていうなら2つあります。

まず1つ目は「Whatで質問せずに、Whichで質問する」ことです。


「Which=どちらの」ですよね…

しみけんさん:
たとえばセックスしているとき、「どうしたら気持ちいい?」とWhatで質問するより、「AとBのどっちのほうが気持ちいいか?」とWhichで質問すると、相手も答えやすいです。

デートとかでも同じです。ハッキリ答えを持っていない人には選択肢を与えると、コミュニケーションが取りやすく、心の距離が縮めやすくなります。

中山:
その姿勢が、心をつなげることにつながるんですね。

しみけんさん:
うん、そうそう!

とくに恋愛やセックスをしているときって人間は難しいことを考えられないので、Whichのように簡単に答えられる質問を繰り返して、心を近づけていくのがポイントですね。



しみけんさん:
もう1つは「Noを言いやすい環境を作る」こと。

僕は「気持ちいい?」ときくAV男優は3流だと思ってるんです。

中山:
なぜですか? よく見るシーンですけど…

しみけんさん:
「気持ちいい?」ってきかれても、相手は「No」を言いづらいですよね。ちょっと違うと思ってても、気を遣って「気持ちいいです」と答えざるを得ない状況になってしまいます

1流の男優なら、相手が「No」を言いやすいように「強くない? 大丈夫?」と聞きます。そこで相手が「No」の選択肢を蹴って答えたら、その言葉は本当ですよね。


これはすごく大事なコミュニケーション術のような気がします…

「顔」「金」がイマイチでもモテる人の理由って? 納得の「ビーチフラッグ理論」

しみけんさん:
ただ、「モテる」って言ってもいろんな要素があるんですよ。

僕が考えた「ビーチフラッグ理論」で、俯瞰して分析することをおすすめします。

中山:
ビーチフラッグ? あの砂浜で走って旗を取るやつですか。

しみけんさん:
そう! ちょっとホワイトボード借りますね。


「おお、このホワイトボード書きやすいですね〜!」

しみけんさん:
こういう、三角形の“モテヒエラルキー”があるとします…


※取材後に確認したらホワイトボードの裏側だったので必死に消しました

しみけんさん:
まず「モテる」というのは、異性から見て「この人と子孫を残したい」と思われること。世の中には自分から行動を起こさなくてもモテる、上位層がいます。

これがビーチフラッグ理論の「フラッグ(旗)」側。何もしなくても勝手に人が集まってきてモテる人たちです。

中山:
フラッグ側にいる人はどういう特徴があるんですか?

しみけんさん:
フラッグ側の人の特徴は、まず「顔」がいいこと。次は「金」なんですよ。悲しいけど。


真ん中の長い線より上が「自分から行動しなくてもモテる“フラッグ側”の人」

中山:
顔とお金ですか…(遠い目)。

しみけんさん:
現実問題として、顔がよければ優位に生きやすいし、お金があれば子孫を育てやすいっていうのはある。

中山:
どちらもない人はどうしたらいいんでしょうか…

しみけんさん:
そういう人はフラッグ側ではなく、フラッグを取りにいく「選手」側。つまり自分から行動しないとモテないってことですよね。

図で言うと、線の下の層になります。この人たちはどうやったらモテるのか?

一番下に入る、最低限の要素は、「清潔感」です。



しみけんさん:
よく「僕清潔感ありますよ!」って自分で言う人が多いんですけど、清潔か不潔かは相手が決めることなので、自分で判断しないことが大切です。

服や髪型を変えるとしても、自分で決めるのではなく、美容師さんや服屋の店員さんに「清潔感を出したい」と相談したほうがいいです。

中山:
気をつけます。

しみけんさん:
最低限の清潔感があって、その上のモテの要素になってくるのが、「健康」であることをアピールする3要素です。

「体の健康」は言葉の通りです。「心の健康」は笑顔やポジティブさ、「頭の健康」はコミュニケーション能力や教養ですね。



しみけんさん:
ここでよく聞かれる質問があるんですよ。「顔も微妙、金もなくて、ヒョロッとしてる不健康そうなバンドマンがモテるのはなぜなんですか?」って。

中山:
たしかに。これまで出たどの要素も持ってなさそうですけど…

しみけんさん:
それがここなんですよ!



しみけんさん:
バンドマンって、人前に立ってるじゃないですか。耳目を集めている。輝いて見えるでしょ?

人前に立っている人は、モテやすいんです。よく、「モテている人がモテる」というのもこの理由ですね。

「注目を集められる人は、生きるうえで優位である」と判断されるわけです。


フラッグ側、上から3つめのモテる要素は「人前に出ること」!

中山:
おお! そういうことか…

しみけんさん:
だから、バンドマンにならなくても、プレゼンで人前に立ったり、YouTubeをやって自分を発信したりすればいいんです。

中山:
それぐらいならチャレンジできるかも…!

しみけんさん:
ディズニーランドのアトラクションで「一緒にやってくれる人〜?」って、参加する人を募集するやつがあるじゃないですか。ああいうとき、すぐに「ハイ!」と前に出られる人はモテます。そういう行動を心がけてください!

「人前に出る」だけで、フラッグを取りにいく「選手」から、人に求められる「フラッグ」側になれますから

中山:
なるほど!

しみけんさん:
ちなみに、4月2日に開講するオンラインサロン「男女の仲研究所」では、こんな話題を次々解説していきますよ!!

中山:
宣伝だ


でも納得の「しみけん塾」でした。興味のある方はぜひチェックを!

中山:
ちなみに、ネット上では「恋愛工学」など、セックスをゴールにしている恋愛も話題になっていると思うんですが、それについて思うことはありますか?


※恋愛工学=女性とセックスすることをゴールにした理論や手法を体系的にまとめたもの。漫画やドラマになり話題化したが、「女性蔑視的」などの批判も

しみけんさん:
男女の関係やセックスまでの道のりをあそこまで言語化しているのはすごいと思います。

なので、それ自体を批判するつもりはないですが、僕個人としては、セックスがゴールになってしまうのはもったいないと感じます。

中山:
しみけんさんの考え方とは異なるんですね。

しみけんさん:
セックスをゴールにしている人は“1回したら終わり”って多くないですか?

セックスってコミュニケーションだから、2人で構築していくところに幸せがある。「1回目が一番興奮する」という男性が多いですが、1回目より2回目、2回目より3回目と回数を重ねる興奮度が増していくのが、いいセックスだと思います

だから、恋愛工学と僕の意見を合体させてくれたらいいと思いますね!

中山:
ぜひそんな姿勢をマネしたいです!

しみけんさん:
ちなみに、競技の正式名称は「ビーチフラッグス」なんですが、なぜ僕が「ビーチフラッグ理論」と単数形にしてるかわかりますか?

中山:
え…? なぜでしょう。


「それはやっぱり1本だからですよ! 求められるものが!」

「恋愛、セックス、結婚は三権分立させて考えるべき」って難しくない…?

中山:
しみけんさんが以前、「恋愛・セックス・結婚は別」とおっしゃっていたことがあったんですが、その理由はなんですか?

しみけんさん:
僕、「人生には3人のパートナーが必要」ってよく言ってるんです。

それは、恋愛・セックス・結婚はそれぞれ目的が違うと思ってるから。



しみけんさん:
恋愛は人を好きになる感情、セックスは残すための行為、結婚は家庭という共同体を作って生存率を高めることが目的ですよね。この3つは別タスクとして考えるべきです。

本来は「三権分立」が重要なのに、すべて1人の人に求めてグチャッとなってしまうからみんな悩むし、問題が起きやすい。

中山:
三権分立…政治みたいだ。

しみけんさん:
浮気してキーッとなって別れる!みたいな話のときでも、三権分立を少しでも理解していたら、とりあえず相手の言い分に耳を貸す余裕ができますよ。

中山:
以前、新R25の取材でAV男優の森林原人さんも三権分立を唱えていますが、実践するのは難しくないですか? なかなか理解してもらえない気が…

しみけんさん:
難しいと思います

人間は感情の動物だから。僕だって嫉妬深いし(笑)。


全然そんなイメージないですけど、そうなんだ

しみけんさん:
ただ三権分立の概念が頭の片隅にあったら、結婚相手にときめかないとかセックスレスなどの悩みが理解しやすくなります

この考えがもう少し広まったら、生きやすく、自分らしく生きられる人が増えると思ってるんですよね。



「インスタグラムを見れば、付き合って楽しいかがわかる」

中山:
そろそろ最後の質問なんですが、数多くの女性を見てきたしみけんさんが“こういう人がいい”と考える女性のタイプってありますか?

しみけんさん:
自分を着飾らず、本能でぶつかってきてくれる女性かな。

恋愛にしてもセックスにしても、そういう人のほうが楽しいよね。

中山:
見た目ばかり気にしてる女性はつまらないってことですか?

しみけんさん:
そうとまでは言い切れないけど…でも、僕は女性のインスタグラムを見れば、セックスをして楽しいかはわかります(笑)

自撮りばっかり、自分のことをよく見せようとしてばっかりの人は、他者への好奇心が弱くて面白くないですよね。



しみけんさん:
僕は仕事柄、多種多様な女性とセックスします。まわりの人に「よく勃ちますね!」なんて心無い言葉を言われることもよくあります

でも僕は常に、セックスという行為に“勃ってる”わけじゃなくて、「この人はどんな人なんだろう」「どんな一面を見せてくれるかな?」という好奇心で“勃ってる”んです。

中山:
カッコイイ…

しみけんさん:
だから、常に相手への好奇心を持って、観察をしましょう。好奇心は人間を動かす、大きな原動力ですから。



しみけんさん:
僕は男女ともに好奇心のある人が好きです。

カミさん(はあちゅうさん)は強い好奇心を持っている人なので、いつもいろんな質問をしてくれます。

毎日仕事から帰ると「今日はどんな仕事だったの?」と聞いてくれるんです。それがうれしくて!

中山:
素敵な関係ですね。

しみけんさん:
お互いに育ってきた環境も仕事も全然違うから、知らないことを教え合っていると楽しいんですよね(笑)。

「モテ」もセックスも、そんなふうに好奇心を持ってぶつかるのが一番でしょうね!



魅力的な人になるためにしみけんさんが大事にしているのは、「どんな相手でも好奇心を持って観察する」こと。

取材後に「変わった靴を履いてますね! どこで買ったの?」と取材陣に声をかけてくれたしみけんさんのことを、その場にいたスタッフ全員が好きになっていました。

やっぱり…レジェンドの名は伊達じゃない!!

〈取材・編集=天野俊吉(@amanop)/取材・文=中山宏太郎(@kobutoriniki)/撮影=長谷英史(@hasehidephoto)〉