合資会社多胡本家酒造場(TDB企業コード:750047050、岡山県津山市楢69、代表多胡恵美氏、従業員15名)は、3月3日に岡山地裁津山支部へ自己破産を申請した。

 申請代理人は、山本陽一弁護士(岡山県倉敷市幸町1-40、山本陽一法律事務所、電話086-435-3222)。

 当社は、1680年代(寛文年間)に創業、1953年(昭和28年)10月に法人改組した老舗の清酒メーカー。自社ブランドの清酒「加茂五葉」は、1960年代から70年代にかけてテレビ放映された「酒は断然、加茂五葉ですね」と将棋の大山康晴名人(当時)が語るCMで岡山県の地酒として抜群の知名度を確立していた。また、焼酎や果実酒なども製造していたが、若者の日本酒離れなどで消費量が減少していたため、96年4月には岡山県内では2例目となる清酒メーカーによる地ビール醸造を開始。「作州津山ビール」のブランドを立ち上げ、2000年9月期には年売上高約3億3000万円を計上していた。

 しかし、その後は地ビールブームの一巡に加えて清酒の消費量も低下傾向が続き、年売上高は2億円台前半にとどまっていた。収益性も低調に推移し、地ビール製造工場建設に伴う借入金が重荷となって余裕のない資金繰りが続いていた。このため、酒蔵ツアーや地域イベントへの出店のほか、地ビールが津山市のふるさと納税返礼品として採用されるなど地域に根ざした営業を展開していたが、2018年6月に前代表が逝去して以降、営業力の低下に加えて資金繰りの改善が進まず、ついに事業の継続を断念した。

 負債は約3億円の見込み。