Pepperで子どもたちが「人生の生き方」を学ぶ! 社会貢献プログラムの大会に込められた真の思いと効果とは

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●Pepperのプログラミング大会に、全国から24チームが参加
ソフトバンクグループおよびソフトバンクロボティクスは「Pepper 社会貢献プログラム」全国大会を開催。小・中学校の児童・生徒がプログラミング教育の学習成果を披露しました。

このプログラムには全国約850校が参加しており、本大会も今年で3年目を迎えます。
今年は予選を勝ち抜いた24チームが、
・小学校部門
・中学校部門
・フリー部門
この3つの部門でプログラミング技術やアイデアを競い合いました。

また、今年は教育現場でのPepper活用の広がりを受けて、
・特別支援チャレンジ
・先生チャレンジ
これらの発表も行われました。


身近な学校内の問題から深刻な社会問題まで、様々なテーマにPepperとともに取り組んだ


大会で表彰されたのは以下のチームとなります。

○小学校部門
・金賞:岐阜県岐阜市立岐阜小学校「子育ての問題を解決するペッパー」
・銀賞:福岡県飯塚市立上穂波小学校「外国語活動に役立つペッパー」
・銅賞:和歌山県かつらぎ町立渋田小学校「スタンプラリーで楽しく一日一善!!」


児童虐待問題という重く難しい課題に、見守り・子育てロボットとしてのPepperを提案した岐阜小学校チーム



実際に保護者に使用してもらった評価は、なんと満点


○中学校部門
・金賞:岐阜県岐阜市立岐阜中央中学校「コンビニロボット店員として働くペッパー」
・銀賞:静岡県掛川市立西中学校「少子高齢化の日本の医療を支える、AI医師Pepper」
・銅賞:東京都港区立高松中学校「命をつなぎ、人が街で煌めく 〜Pepperが災害から人の命を守り、街づくりに貢献する〜


コンビニの労働者不足や消費税の軽減税率など、複雑な問題に果敢に取り組んだ岐阜中央中学校チーム



複雑にプログラムされたPepperは、まさにコンビニ・コンシェルジュ。商品の場所から軽減税率を加味した価格まで教えてくれる


○フリー部門
・金賞:静岡県掛川市立東中学校「東中生の危機を救え 〜Pepperの連携 奇跡の実現〜」
・銀賞:静岡県藤江市立青島中学校「スーパー保育士 Pepper」
・銅賞:岐阜県岐阜市立青山中学校「曾祖母を救うPepper」


複数台のPepperをGmailサーバーと連携させ、情報を共有させるという大人顔負けの離れ業を見せた東中学校チーム



Pepperのプログラムには、通常Robo Blocks(ロボブロックス)やChoregraphe(コレグラフ)が用いられるが、このチームはさらに高度なPython(パイソン)を使用した


○特別支援チャレンジ
・島根県松江市立意東小学校「Pepperと広げた友達との関わり」

○先生チャレンジ
・福岡県飯塚市立飯塚東小学校「Pepperで対戦、五色百人一首!」


Pepperのプログラムを通じ、自分をうまく表現できなかった特別支援学級の児童が前向きに他の子どもたちと交流を持てることを実証した、素晴らしい成果発表だった



当初は「話したいことがない」と内向的だった児童は、Pepperのプログラミングを通して友達との交流の楽しさや大切さを学び、今ではYouTuberになりたいという夢も持てるようになった


各部門の金賞受賞チームには、プログラミング技術の向上やその意欲への大きな刺激を期待し、副賞としてシリコンバレー視察招待が与えられました。


●年々進化する子どもたちのプログラミング技術
本大会も今年で3回目となり、参加校や参加チームのプログラミング技術も年々向上しています。

本大会に出場したチームの出身地域を見ると、静岡県や岐阜県、福岡県といった一部の地域の偏りが見られます。
これは決してソフトバンクが優先的に出場させているわけではなく、プログラミング教育に地域差が生まれ始めていることを示唆しています。


ソフトバンク 人事総務統括 CSR統括部 統括部長の池田昌人氏は、こう語ります。

池田昌人氏
「いわゆる忖度などは一切ありません。むしろ一次選考などは機械的だと言ってもいいくらいです。

過去に好成績を残した学校や地域が、様々な場面でその成績を讃え、強調するのです。それが子どもたちの励みにもなり、さらに(プログラミング技術を)伸ばしている印象です」

大会を重ねるごとに、好成績を残したチームの出身校が強豪校としてさらに強くなっていく。これは本プログラムに限ったことではありません。
Pepper社会貢献プログラムが、それだけ教育現場や地域に根付き始めたという証拠でもあります。


ソフトバンク 人事総務統括 CSR統括部 統括部長 池田昌人氏



子どもたちのプログラミング技術は、1世代だけで終わるものではなく、次の世代へと受け継がれなら進化しはじめている


池田氏は子どもたちの成長についても、このようにも語ります。

池田昌人氏
「1年目は初めての開催で、子どもたちも何が評価されるか分かりませんでした。
2年目は1年目の成果が手本となりました。
毎年、前年の成果やトップが基準となってきたのです。

課題の捉え方、気付き、課題の掘り下げ。子どもたちが(本プログラムで)行ってきたことは、ビジネスのプロセスとほぼ同じです。
嬉しかったのは、ただプログラムを作るだけではなく、その効果検証をしっかりと行っていたことです。

(ソフトバンクの)孫が普段から行っている手法そのものですね」

確かにそれぞれの発表では、プログラムしたPepperが完全動作することはもちろんのこと、そのPepperがどれだけの成果を挙げたのか、どこに問題が残ったのかを正しく評価している子どもたちの姿がありました。


大会の目的はPepperをどれだけうまく動かすのかではない。Pepperを社会貢献にどう活用するのかを競う。だからこそ、効果検証が最も重要となる


課題を見つけ、アイデアを出し、プログラムを組み、課題解決の実証を行う。
その過程は、まさに教育現場が2020年度より必修化する「プログラミング教育」が目指す、論理的思考の養成そのものです。

プログラミングとは、その思考力を鍛えるための手段に過ぎません。
子どもたちは「プログラム作成」と「効果検証」を行うことで、物事を順序立てて解析し、解決へと導いていく力を身に着けていくのです。


●新たな試み「一言カード」の大切さ
今回の大会では、新たに「ひとことカード」というものが導入されました。
これは大会に参加した子どもたち自身が、ほかの子どもたちの発表内容にアドバイスや気が付いた点を教え合うためのカードです。

このカードの導入について、池田氏はこう語ります。

池田昌人氏
「スポーツでもなんでも、切磋琢磨します。ライバルでありつつも、そこは大切な『仲間』なのです。そういった横のつながりを大切にしていきたいのです。

実は、ここにも背景があります。ソフトバンクは東北絆カップというものを開催しています。野球やサッカー、バスケットボールなど、小・中学生を対象としたスポーツ大会です。
絆を大切にする、というのは、勉強もスポーツも一緒じゃないかと思うのです。

これまでは発表の場を個室にして分け、クローズドな環境で行っていました。
今年はそれをオープンにし、同じテーマについて交流が生まれること、それ自体が大きな価値になればと考えました。」

技術をただ競い合うだけではなく、お互いに高め合える関係にしていく。
それは恐らく、社会にでても大きな力となることでしょう。


発表会場横に並べられた、各チームの発表内容。参加者はこれを自由に閲覧しながら交流を深めていた



●「人生の生き方そのものの基本を学ぶ」
池田氏は最後に、本プログラムや本大会へ参加してくれた子どもたちへの言葉として、このような言葉を残してくれました。

池田昌人氏
「プログラミング授業というと、プログラミング技術を学ぶというイメージがあると思います。

ですが実際は、PDCAを習慣化させるための、広義の意味で人生に役立つ教育の1つだと思っています。それがPepperによって、楽しい内容になっているのです。

『人生の生き方そのものの基本を学ぶ』ということ。
Pepperはいつでも笑顔で迎え入れてくれます」

ロボットであるPepperを通して子どもたちが学んでいることは、人間性や社会性そのものなのかも知れません。


執筆 秋吉 健