クライマーってどんな職業? 大会賞金だけじゃない職業クライマーとしての働き方
2020年のオリンピックでクライミングが正式種目に選ばれ、テレビや雑誌でプロクライマーを見る機会が増えてきました。一人のクライマーとして嬉しい限りです。
そこで最近よく
「クライマーってどうやって生計を立てているの?」「賞金だけで生活できるの?」
などお金にまつわることを質問されます。
そこで今回は、クライマーという職業と意外と知らないクライミング関係の仕事を紹介していきます。
プロレベルでなくても十分にクライミングで稼ぐことができますので、最後までお楽しみください。
クライマーってどんな職業?
職業としてのクライマーとは、クライミングに関わる仕事をして、報酬をもらっている人のことです。つまりテレビで見るような代表選手以外にも多くの職業クライマーが日本で働いています。クライミングのレベルもプロ並みのスキルが必要という訳ではなく、 中上級者ぐらいのレベルで十分 。
私の場合は、職業クライマーとしてボルダリングジムのスタッフ3年、クライミングインストラクター2年、ボルダリングパーソナルコーチ1年など、プロクライマーではないですが、多くのクライミング関係の仕事に携わることができています。
プロクライマーとは?
職業クライマーとして最初に思いつくのではないでしょうか? 代表選手としてワールドカップに出場する選手もいれば、企業のPR活動をする方もいるなど、さまざまです。ここでは、もうプロクライマーについて深掘りしていきます。
【プロクライマーの定義】
プロクライマーとは、 企業やクライミングメーカーからスポンサードをされている人たちのこと を定義する場合が多いです。スポンサードの形式もさまざまで、年俸制のクライマーは世界でも名の知れたトップクライマーのみ。プロクライマーの半数以上が物品提供だけで、報酬としてお金をもらうことはほとんどありません。つまり日本代表選手はもちろんのこと、スポンサードをされている学生やサラリーマンの方もプロクライマーとして活動しています。ただサッカーや野球のようなメジャースポーツとは違い、プロの線引きが非常に曖昧で「どうしたらプロと名乗れるか」という基準はあまりありません。
【プロクライマーの活動内容】
プロクライマーの主な活動内容は、 クライミングの大会に出場 することです。またショッピングモールやスポーツセンターでのゲストイベンターやスポンサーから提供されるクライミンググッズのPRも活動の一環です。最近だと、トップアスリートとしてテレビ出演、CM出演、雑誌の取材などに活動の幅を広げて、中にはクライミング以外の商品(コスメやファッションアイテム)をPRするプロクライマーもいます。
他にもテスターといって、スポンサーからグッズを提供され、そのグッズのテストとPRをするクライマーも多いです。
【プロクライマーの報酬】
大会の優勝賞金はだいたい10万円で、ワールドカップだと20万円前後です。企業が主催する大会で優勝賞金100万円というものもありますが、非常に稀。ちなみに大きい大会以外は賞金が発生せず、物品での報酬の場合が多いです。つまりほとんどのクライマーは賞金のみで生活ができず、プロ生活と並行してPRなどの仕事も行わないといけない大変な職業なのです。
プロ以外にもクライミングを通してさまざまな稼ぎ方がある
日本はクライミングのトップ層が非常に厚く、プロクライマーになることが大変です。プロになってからも賞金だけで生活するのは厳しく、並行してクライミングジムのスタッフやコーチなどをする必要があり、なかなか世知辛い。ただ、プロクライマー以外でもクライミング関係の仕事をして、生計を立てることも十分に可能です。
【クライミングジムスタッフ】
一番手軽にクライミング関係の仕事ができる クライミングジムスタッフ 。基本的なルールの理解と、男性なら3級前後、女性なら4級前後を登ることができれば、アルバイトとして働くことができます。場所によっては、クライミング初心者でも受付スタッフとして雇うジムもあるので、まずはクライミングジムのアルバイトがおすすめ。
アルバイトの場合、給料は最低賃金のところが多いです。また正社員採用も行なっているジムが増えてきているので、普通のビジネスマンからクライミングジムのスタッフに転職される方も少なくありません。クライミングのレベルが非常に高い場合だと、雇われ店長という形で雇用してくれるオーナーも徐々に増えてきました。
仕事内容は、ジムの受付、ルール説明、ジム内清掃、クライミンググッズの販売、初心者講習用のルート作成などが挙げられます。
クライミングジムスタッフの特典として、無料で働いているジムを利用することができます。またスタッフ割引もあるジムが多く、高いクライミンググッズを安く買えるのはありがたいですね。
【ルートセッター】
ルートセッターとは、 真っさらな壁にクライミングのコースを作る人のこと を指します。この職業は、クライミングジムスタッフとは違い、基本的には日当制の完全歩合。基本的には日当25,000円と定められていて、熟練度に応じて給料が上下します。
またルートセッターのプロ資格もあり、それを保有していると国体のセットや公式戦のセットができるようになります。能力さえあれば、資格がなくても他のジムに行きルートセットをすることができます。
ただ、この職業は少しハードルが高く、セッター歴が浅いとなかなか仕事をもらうことができません。ルートセッターの多くは、ジムスタッフと並行して働いていて、ルートセットもジムのバイト中に学んでいます。もし将来、クライミングルートセッターをやってみたい方には、常にジムで自分のオリジナルコースを作成し、友達とセッションすることをおすすめします。
【クライミングコーチ】
クライミングコーチは資格がいらないので、スキルと人脈があればすぐに始められる職業。基本的に クライミングのスキル向上のために教える仕事 で、ダイエットの管理などクライミングを通して痩せることをサポートする仕事ではないのです。
主な仕事内容は、その人にあったオリジナルコースの作成や、ジムのルートで登れないものに対してアドバイスすることです。優秀なコーチの方だと、もっと根本的な体の使い方からケアの仕方を教えています。またクライミングコーチは通常複数人の生徒を同時に教えるのですが、パーソナルコーチとして1対1、もしくは1対2で教える方もいます。ちなみに私は、後者のパーソナルコーチとして働いていて、1対1を基本としています。
【ジム清掃員】
意外と知られていませんが、ジムの清掃員は大手クライミングジムだと数人雇っています。主な仕事内容は、 クライミングジムがオープンする前に出勤し、前日に汚れたフロアやマットを清掃すること です。時間も2時間少々で終わるので、主婦の方や学生の方が多く働いています。
給料は、クライミングジムスタッフ同様、最低賃金が基本です。清掃スタッフになると、クライミングジムスタッフ同様にそこのジムを無料で使うことができ、無料で登るためにジム清掃員をやる方も非常に多いです。
まとめ
いかがでしたか?
職業クライマーのさまざまな働き方が存在し、プロクライマーにならなくてもクライミング関係の仕事に携わることができます。もし将来クライミングの仕事に就きたい方がいたら、まずはアルバイトとしてクライミングジムスタッフをおすすめします。その中で多くのスキルを学び、クライミングルートセッターや、コーチなどに仕事の幅を広げてみましょう。