NTTドコモが目指す未来のスマホ充電! 照明で長距離ワイヤレス充電、6分で満タン「超高速充電」が築く快適な生活

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●NTTドコモが革新的なバッテリー充電技術を公開
NTTドコモは1月23日および24日の2日間、東京ビッグサイトにて通信技術に関連する展示会「DOCOMO Open House 2020」を開催しました。
その中で注目したいのが、バッテリー充電技術に関する展示や実演です。
・赤外線域の光(電磁波)を用いた新たな長距離ワイヤレス充電システム
・わずか6分で満充電可能な新型リチウムイオンバッテリー
これらのプロトタイプが公開されました。

携帯電話やスマートフォンに代表されるモバイルデバイスは、全てバッテリーによって駆動しています。
モバイルデバイスの進化とともにバッテリー技術も向上し、大容量化を続けてきました。

一方で、充電方法や充電時間では劇的な変化がなく、未だにUSBケーブルを接続し、満充電まで何時間もかかる状況のままです。
USB PDといった大電流の充電(給電)方式も登場していますが、抜本的な解決には至っていません。
またワイヤレス充電では、置くだけで充電が開始される非接触型充電方式「Qi」(チー)も普及しつつありますが、
・専用の台やホルダーに置く必要がある
・充電速度が遅い
こういった、旧来からある使い勝手の悪さを残したままです。

NTTドコモは、これらの充電環境を大きく進化させ、USB充電やワイヤレス充電の弱点を克服した新しい充電方式を提案しています。


NTTドコモが考える「未来の充電」とは


●部屋の照明で充電できる「長距離ワイヤレス充電」
展示ブースで最も注目を集めていたのは「長距離ワイヤレス充電」です。
これは、赤外線域である300テラヘルツ前後の光(電磁波)をレーザー光として対象の端末に照射することで、
・バッテリーの充電を行う
・バッテリーを搭載しない機器を動作させる
こういった用途に利用するというものです。

展示ブースのデモンストレーションでは、バッテリーを搭載しない電車の模型に受光器を取り付け、そこへ天井照明からレーザー光を照射することで走行させていました。
「長距離ワイヤレス充電」では、数m離れている機器へ充電や給電が可能なほか、動いている機器も追従して充電や給電が行なえます。


照明に組み込まれたレーザー光発信器は受信する機器を検知し、ピンポイントにレーザーを照射する



ソーラー発電ではなく、レーザー光自体を電力源として受信して走っている

この方式には、
・レーザー光が当たる場所ならどこに置いても充電および給電が可能
・複数端末へ同時に充電および給電が可能
・レーザー光は赤外線であるため人体への影響がない
・ソーラー発電と違い、受光器の小型化が可能
・発信器を屋内照明などに組み込める
・部屋のデザインやレイアウトに影響しない
こういった、たくさんのメリットがあります。

デメリットとしては、
・出力が小さく充電に時間がかかる
・赤外線であるため、テレビやエアコンなどのリモコンに干渉する
これらが挙げられます。

出力と充電時間については、今後早い段階で改善していきたいとしています。
リモコン装置などへの干渉については、まだ研究が必要とのことです。


受光器をスマートフォンに直接組み込む方式以外にも、保護ケースなどに搭載したり、卓上ホルダーへ搭載したりすることで、配線のないスッキリとした充電台も実現可能だ


●バッテリー革命となるか!? わすか6分で満充電可能な「超高速充電」
もう1つの「未来の充電」は、「超高速充電」です。
昨今のスマートフォンは急速充電機能を搭載した製品が増えており、30分程度の充電で約50%の充電が完了する、といったモデルもあります。
しかし、展示されていた容量2,000mAhのモバイルバッテリーは、なんとわずか6分で満充電にすることできます。

これは、充電するケーブルやACアダプターなどを改良したのではなく、モバイルバッテリー自体の改良によるものです。

「超高速充電」のバッテリーは一般的に使われているリチウムイオンバッテリーですが、素材の改良によって実現しました。


展示されていたモバイルバッテリー


出展ブースでは、実際に満充電まで何分掛かるか計測するデモンストレーションも行われていた

従来のモバイルバッテリーでは、このような超高速充電を行おうとすると発熱量が上がり、
・バッテリーが急速に劣化
・発火・爆発といった危険性が上昇
こういった問題が起こり、なかなか実現できませんでした。

しかしNTTドコモの超高速充電技術では、そうした危険性がありません。
またバッテリーの充放電回数も、従来製品と同等の500回以上を達成できるとしています。

このバッテリーの実用化時期については未定ですが、
展示ではモバイルバッテリーとしてデモンストレーションが行われており、今後はスマートフォンへの組み込み型バッテリーとしても研究・開発を進めていくとのことです。


●「充電」を気にすることのない未来へ
長距離ワイヤレス充電システムも、超高速充電技術も、現在のバッテリーおよび充電方式の常識を大きく覆すものです。

これらが実際にデモンストレーションとして動く状態で展示されていたことに驚くとともに、
近い未来に実用化された際には、
「私たちの生活が大きく変わる」という実感を得られました。

いずれの技術も、現在のスマートフォンが抱える充電の煩わしさ、使い勝手の悪さを大きく軽減するものです。

スマートフォンが通信インフラの要となって久しい中、NTTドコモが、
「充電を意識させないスマートフォン生活」
この未来に向かってさまざまなアプローチを行っている姿勢には、強い共感を覚えました。


普段の生活の中で、充電という行為をどこまで意識させない形にできるだろうか

奇しくも2020年の今年は、第5世代通信システム「5G」が始まる年でもあります。
スマートフォンはますます高機能・高性能化し、バッテリーにもさらなる大容量が求められ、充電という作業の重要性も高まっていきます。

私たちがバッテリー残量や充電場所、充電方法に縛られることのない世界。
この未来にむけて、NTTドコモは現在も研究と開発を続けています。
執筆 秋吉 健