【レポート】『ひかり温泉』再開記念イベント「復興の三重奏」
こんにちは。ライターのもこです。
今回は高槻にある銭湯でオーケストラのコンサートがあると聞いて行ってきました。
銭湯でコンサート⁇と不思議に思いつつも、さっそく住所を頼りに会場に行ってみた!
JR高槻駅より徒歩20分、見渡しても住宅しかないようなところ……
そんな目的地にあったのは隠れ家のような銭湯「ひかり温泉」でした。
ここがコンサート会場なのか!! 暖簾をくぐると、長蛇の列ができていました。
私も早速、受付で500円を払って中に入ってみることに(受付では入浴無料券のプレゼントがありました)。
中に入ってビックリ!? 盛り上がりが半端ないって!!!
どうやら、今日は地域の方々も待ちに待っていた『ひかり温泉』の再開記念イベント「復興の三重奏」が開催されているようです。
朝早くから新聞やテレビなど各種メディアの取材も多数訪れていました。
観客数はざっと数えても80人ほど!
こんなに盛り上がっている大阪の銭湯を見たのは久しぶりで、なんとも感慨深いです。
予想以上の観客数で浴室から脱衣場までお客さんがパンパン。ということで、急きょ女湯をモニタールームとして用意。
(モニタールームですらパンパン……! 銭湯にモニターがある様子は、なんだか見慣れなくて新鮮です)
待っていたのは、本格的なアンサンブル
三人の奏者さんの楽器の音色は息がピッタリでとても美しく、うっとりするようなコンサートでした。
素晴らしい演奏にとても感動しました。みんな笑顔でとても良い時間でした。
あら?大勢のお客さんの中で、一際嬉しそうな人を発見……!!
その方こそが、今回のコンサートの主催者である『ひかり温泉』店主の宮田良一さんです。
宮田さんよりお集まりいただいた地域の皆さんにお礼のご挨拶がありました。
「この日を心待ちにしていた」「とっても嬉しい」と、感謝の気持ちがひしひしと伝わるご挨拶でした。
なるほど……、
このイベントは昨年に大阪で起きた台風21号の影響で営業を休止していた『ひかり温泉』が、被災を乗り越え、営業を再開したという地域の方々へのお披露目のコンサートだったんですね。
そして、この営業再開には全国の銭湯ファンからの多数のサポートがあったようです。
この日はプロジェクトの責任者であった、株式会社東京銭湯の日野代表も同席し、義援金の授与式に参加しました。
昨年の2018年1月28日より約4ヶ月間、全国の銭湯ファンからクラウドファンディングで集めた台風21号の義援金約150万円が『ひかり温泉』へ贈呈されました。
こちらの義援金は無事、修繕費の一部に充てられたようで、その事についても店主の宮田さんよりお礼の言葉がありました。
「こういった若い銭湯ファンの方々のおかげで、銭湯の運営が続けられることを嬉しく思います。」
※クラウドファンディングやこちらのイベント詳細については過去記事をご覧ください。
日野代表は、昨年8月、大阪で起きた台風21号を東京からテレビで見ており、放送されていた被災状況に衝撃を受けたそうです。報道を見たその足で大阪に向かい、被災銭湯をいくつか訪問したとのこと。
そこで実際に煙突が折れたり、タイルが剥がれて営業ができない銭湯を目の当たりにし、銭湯ファンを代表して、被災銭湯へ少しでも何かできることがないか試行錯誤した結果、クラウドファンディングという支援の形に至ったといいます。
今回『ひかり温泉』はたくさんの方々の想いを背負って営業再開に至ったようですね。
優しいコンサートの音色と会場が一体となり、なんとも心地よかったです。
⭐︎当日の演奏曲のラインナップはこちら
一曲目 『愛の挨拶』Sir Edward William Elgar
二曲目 『水上の音楽〜アラ・ホーンパイプ〜 Händel
三曲目 『水滴』Jean Sibelius
四曲目 『美しきロスマリン』Fritz Kreisler
五曲目 『ユーモレスク』Antonín Leopold Dvořák
六曲目 『川の流れのように』美空ひばり
七曲目 『涙そうそう』夏川りみ
八曲目 『ハナミズキ』一青窈
九曲目 『世界に1つだけの花』SMAP
アンコール
十曲目 『星に願いを』Disneyより
十一曲目 『良い湯だな』ザ・ドリフターズ
記念に残る素晴らしい演奏をありがとうございました。
▲演奏メンバー(左から)チェロ:望月さん、キーボード:加藤さん、バイオリン:小川さん
バイオリン奏者の小川さんに、今回のコンサートについてコメントをいただきました!
「今回はこのような機会をいただきありがとうございます。普段は、日本センチュリー楽団というところに所属し、オーケストラ奏者として、楽器を演奏しております。日頃の会場はとても広くお客さんとの触れ合いが限られています。そんな中、今回このようなお話しをいただき、生活の一部であるお風呂とクラシックの異色のコラボレーションをとても面白く感じました。
普段は、なかなか会えない人にも身近にクラシック音楽に触れていただける機会をもっと増やしていけたら良いなと思い、喜んでいただけてとても良かったです」
お客さんの満足度も高かったです!
とっても笑顔溢れる復興イベントでした。
中でも印象的だったのは、ひかり温泉に通って38年という大常連のしげたさんの言葉。
「毎週、1歳のひ孫を連れて、銭湯に通っていましたが、今回の災害による営業停止をとても心配していました。でも、宮田さんが大きな決断をして、営業を再開してくれて本当に良かった」と、話してくれました。
他にも『宮田さんのにこにこ笑顔に癒される』『あったかい人柄が大好き』という祝福コメントも多数いただきました。
復興の三重奏コンサートは大成功、新たな『ひかり温泉』が開幕のテープをきりました!!
台風21号の影響で、被害を受けた『ひかり温泉』が地域の皆さんとともに再スタートを切った姿をみて嬉しく思います。
そして、オーケストラコンサートは大盛況で、イベントは大成功でした。
これからも大阪の銭湯ファンとして『ひかり温泉』を応援していきます。
最後に、人情味溢れる無類の銭湯好き店主の宮田さんのプロフィールをちょっとだけご紹介。
宮田さんは「銭湯経営歴は50年以上、銭湯のことならなんでもお任せください」とおっしゃっていました。
▲左:株式会社東京銭湯・日野代表 右:宮田良一さん
昭和15年1月17日生まれの80歳。
学校を卒業後、20代の頃から11年間東京のお風呂屋さんに勤めました。(昭和39年〜50年まで)
昭和50年、35歳の時に大阪へ移住し、たまたまご縁があった住吉で風呂屋で7年修行しました。その後、42歳の時に今の『ひかり温泉』を先代より引き継いだのです。つまり、銭湯に携わっている歴は50年以上の大ベテランであります。
いわば銭湯の生き字引的存在。
本当の銭湯コアファンは直接、宮田さんにお話しを聞いてみるともっと銭湯愛が深まるかもしれませんね。
被災を通して、更に深く結ばれた絆。
80歳の宮田さんの人生をかけた挑戦はまだまだ続きます。
銭湯ファンの皆さんは、ぜひ「ひかり温泉」に行って昔ながらの懐かしい銭湯を体感してくださいね。