慢性腎臓病まっしぐらの悪習慣、甘い清涼飲料水・喫煙でリスク上昇
日本人の10人に1人がかかっているといわれる慢性腎臓病。腎臓の機能が落ち、体内の老廃物を排出できなくなる病気だが、初期から中期は自覚症状がないため、末期の人工透析が必要になる段階まで切実な問題と受け止められない人が多いという。このように静かに腎臓をむしばんでいく慢性腎臓病とはどのような病気で、どんな人がなりやすいのか、聖路加国際病院腎センター長の中山昌明医師に教えてもらった。(聞き手/ダイヤモンド編集部 林 恭子)
腎機能は40歳をピークに低下
正常の60%未満に落ち込んだら要注意
――慢性腎臓病とはどのような病気ですか?
慢性腎臓病とは、尿の中にタンパクが出たり、腎臓の機能が正常の60%未満に落ちた状態が持続していることをいいます。
腎臓は「下水場」と極めて近い機能を持つ臓器で、血液中の老廃物を浄化して、体を常にきれいな状態に保つ働きがあります。また、体のミネラルバランス、水分のバランスも調節しています。
その機能の目安になるのが「糸球体ろ過量(GFR)」です。糸球体とは毛細血管の塊で腎臓1つに100万個、2つ合わせて200万個あります。正常ならそれらが1分間あたり100mlの血漿(血液の水成分)を連続的にろ過して浄化しますが、これが60ml未満に低下していれば慢性腎臓病です。
1分間あたり100mlを浄化する糸球体ろ過量は「GFR(ml/分/1.73平方メートル、以下単位略)」と呼ばれ、この値は40代前半をピークに少しずつ落ちてきます。これは足腰が弱るのと同じで、加齢とともに低下します。
低下の速度は1年間で1.0を少し下回る程度です。しかし、40歳から1ずつ下がれば、この場合、100歳時点のGFRは40ということになります。慢性腎臓病の基準に入って不安に思われるかもしれませんが、心配はありません。年間1未満の低下であれば、生理的な老化の範疇です。ただ、それ以上のスピードでGFRが下がっているなら、末期腎不全に進行していく恐れがあります。