ピッチで治療を受け、涙を流しがら病院へと運ばれたドス・サントス。 (C) Getty Images

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 メキシコの“天才”アタッカーがショッキングな怪我に見舞われた。

 現地時間9月28日に行なわれたメキシコの前期リーグ第12節で、クラブ・アメリカは、本拠地アステカ・スタジアムに“宿敵”のチーバス・グアダラハラを迎えた「メキシコ版クラシコ」に4-1の快勝を収めた。

 しかし、この結果に水を差してしまったのが、この夏に加入したメキシコ代表FWジオバニ・ドス・サントスの負傷退場だった。

 36分、ルーズボールを収めにいったドス・サントスは、相手DFアントニオ・ブリセーニョと接触した際に、アルミニウム製のポイントが付いたスパイクの裏で太腿を切り裂かれてしまったのだ。

 腿の一部の筋肉がえぐられ、肉が丸見えの状態となってしまったドス・サントスは、ピッチに倒れ、叫び声を上げながら担架を要請。あまりの悲惨さに周囲にいたチームメイトたちも愕然とし、頭を抱えるなか、背番号10は、号泣しながら退場を余儀なくされた。

 クラブの公式発表によれば、病院に緊急搬送されたドス・サントスは手術を行ない、リハビリを含め、全治6週間の診断が下されたという。

 バルセロナの下部組織で育ち、リオネル・メッシとともにクラブの未来を担う存在として大きな期待を寄せられた時期もあったドス・サントス。母国に舞い戻ったかつての天才を襲った悲劇を、海外メディアも大きく取り上げている。

 アメリカの衛星放送局『CNN』が、「恐ろしい怪我だ」とレポートすれば、かつて所属していたMLSの名門ロサンゼルス・ギャラクシーの地元紙『LA Times』は、「ハイキックを喰らい、太腿の肉が剥がれた後、彼は痛みで顔をゆがめた」と綴り、その悲惨さを次のように伝えている。

「どれほど恐ろしい怪我であったかを考えれば、彼が元気であるという一報は、素晴らしいニュースでしかない」

“加害者”となってしまったブリセリーニョは、自身のツイッターで「本当にすまないと思っている。ただ、君を傷つけるつもりはなかったことを知っていてほしい。ジオ、君がいち早く回復することを祈っている」と謝罪のメッセージを送っている。

 そして、ドス・サントスも自身のSNSでメッセージを発信。病室で笑顔を浮かべる写真とともに、次のように記した。

「たくさんのメッセージ、それから心配をしてくれてありがとう。全てが上手くいった。神に感謝しなければならない。僕はすぐに強くなって戻る」

 新天地でいきなり災難に見舞われたドス・サントス。メキシコでの“船出”は、最悪なものとなった。

構成●サッカーダイジェストWeb編集部