<上場して間もない配車大手のウーバーが早くも失速気味......迷える経営の実態は>

配車サービス大手ウーバーの株価が、8月15日に上場以来の下値を付けた。8日発表の第2四半期決算で52億ドルの赤字を計上したためで、株価は一時、32.92ドルまで落ち込んだ。

ウーバーは新規事業(ウーバーエアなど)の開拓に取り組んでいるが、アナリストや投資家は同社の事業モデルの収益性に懸念を示している。四半期決算の発表後に同社が新規雇用の凍結を決めたとの報道もある。

一方、ウーバーと競合するリフトは四半期決算で市場の予測を上回る収益を計上した。同社はウーバーと違って本業の配車サービスに特化し、市場も北米に限定している。

ただし両社とも、上場後の株価は低迷している。リフトは今年3月に72ドルの売り出し価格でIPO(新規株式公開)を実施したが、現在の株価は54ドル前後で推移している。今年5月に上場したウーバーは初日に、売り出し価格の45ドルを7.6%も下回る41.57ドルで取引を終えた。

いったいウーバーはどこへ向かおうとしているのか。創業者のトラビス・カラニックが2017年にセクハラ問題などで辞任したのは当然としても、今の経営陣は「成長第一」という創業理念を失っているとの批判もある。

逆に、飽くなき拡大路線が収益の足を引っ張っているとの見方もある。ウーバーは10年前にサンフランシスコで生まれたばかりだが、今は世界60カ国以上で事業を展開している。

<本誌2019年8月27日号掲載>

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※8月27日号(8月20日発売)は、「香港の出口」特集。終わりの見えないデモと警察の「暴力」――「中国軍介入」以外の結末はないのか。香港版天安門事件となる可能性から、武力鎮圧となったらその後に起こること、習近平直属・武装警察部隊の正体まで。また、デモ隊は暴徒なのか英雄なのかを、デモ現場のルポから描きます。


ウェスリー・ドカリー