「社内の空気は変わってきた」トヨタから初受注でホンダ系大手サプライヤーが得た果実
ケーヒンはホンダが約41%の株式を持つホンダ系サプライヤーとして2輪・4輪の制御系部品を得意とする。横田がホンダの米国生産担当の常務執行役員からケーヒンの社長に転じたのが16年。ホンダとの取引は売上高の8割以上を占める。
ホンダとの深い取引関係に裏打ちされた事業の安定感はあるが、じくじたる思いも感じていた。「ホンダは販売台数を伸ばしているのに、当社の売上高は伸びていない」。
ケーヒンの売り上げは3000億円台で停滞する。ホンダが新型車を開発する際、ケーヒンはホンダと一緒に部品を開発して受注する。しかし新型車の一部改良を機に受注を失うパターンが多い。「性能は良いが価格が高くなってしまう」と横田は振り返る。
「社内の空気は変わってきた」。ケーヒンの事業統括本部長で代表取締役専務執行役員の阿部智也はこう話す。ケーヒンとして初めてトヨタ自動車向けの部品受注を獲得できたのは、開発の効率化などの施策が徐々に成果として表れ始めている証左と実感している。
主要取引先のホンダ以外の自動車メーカーに受注を広げる「他販拡大」を強化しているケーヒン。阿部は「他社向けにあまり手もつけていなかった」と吐露する。ほぼすべての経営資源をホンダ向けに注ぎ込んでいただけに、ホンダ以外の拡販を進めるために効率化して他販に取り組む資源を生み出した。
激しさが増す自動車業界の競争の中で生き残るために、ケーヒンも開発業務の効率化に本腰を入れ始めた。例えば、開発本部長で取締役常務執行役員の伊藤康利は「新しい製品を取り扱うにあたって技術の評価の仕方を変えた」と話す。
