今シーズンのJ2リーグは、夏の移籍市場が活発だ。すぐに結果を出したり、試合に絡んだりしている選手が多いから、余計に活発に映るのかもしれない。
 
 24節を終えて勝点46で首位の京都サンガは、ガンバ大阪から藤本淳吾を獲得した。チームが好調な現状にあって、いきなりフル回転を求められる補強ではない。中盤の選択肢に余裕を持たせるものだ。
 
 京都と同勝ち点で2位の柏レイソルは、MFマテウス・サヴィオ、FWジュニオール・サントスを獲得した。ボランチのヒシャルジソンとFWクリスティアーノ&オルンガの3人がレギュラー格で、ウインガ―タイプのガブリエルが控える4人体制でも、戦力として十分に映る。19節から24節まで6連勝を飾っており、シーズン序盤のもたつきを一気に挽回してきた。ここでさらに2人のブラジル人を加えたところに、柏の本気度がうかがえる。
 
 3位の水戸ホーリーホックもいい補強をした。
 
 シーズン開幕から上位をキープするチームに物足りなさがあるとしたら、ストライカーになる。24節終了時のチーム内得点王は、左サイドバックの志知孝明なのだ。
 
 大宮アルディージャから期限付き移籍中のFW清水慎太郎は、攻撃の起点としての役割を果たしている一方で、ここまで4ゴールに止まっている。J1昇格を引き寄せるには新たな得点源を確保するべきで、ジュビロ磐田から小川航基を獲得した。

 東京五輪へ向けてクラブでアピールしたい21歳は、加入直後のFC琉球戦で途中出場からいきなりゴールを決めた。翌24節のアビスパ福岡戦はスタメンに名を連ね、後半53分に1対1の同点とするゴールをねじ込んだ。

 ここまでは順調である。ただ、琉球は14位、福岡は21位に沈むチームだ。上位との直接対決で結果を残すことがチームの昇格を後押しすることになり、小川自身の価値を上げることにもなる。

 4位のモンテディオ山形は、夏の移籍市場で戦力を失った。チーム得点王の阪野豊史を、J1の松本山雅FCに引き抜かれたのだ。
 
 クラブが新たに迎え入れたのは、ガンバ大阪から期限付き移籍した高木彰人である。24節の徳島ヴォルティス戦に途中出場した21歳は、新しいチームメイトのアシストも受けて初得点をマークした。
 
 今シーズンのJ2は、G大阪がひそかに支えている。京都でチームトップの得点をあげている一美和成、?・ファーレン長崎で得点ランク3位の11発を記録している呉屋大翔が、G大阪からの期限付き移籍なのだ。
 
 5位の大宮アルディージャは、守備陣を中心にケガ人が絶えない。CBタイプの絶対数を担保するために、名古屋グランパスから櫛引一紀を補強した。また、サイドアタッカーの選択肢として、横浜F・マリノスのイッペイ シノヅカを獲得した。シノヅカには複数のクラブが興味を示していた。
 
 20節から5連勝中で7位の横浜FCには、中村俊輔と皆川佑介が加わった。コンディションを整えている中村は、新天地でのデビューは飾っていない。一方の皆川は、23節から2試合連続で先発している。
 
 攻撃的なMFやFWがひどく不足している印象はないが、レアンドロ・ドミンゲスとイバへの依存度は大きい。クラブのフロントは、昨シーズンのJ1参入プレーオフ準決勝を思い返しているかもしれない。リーグ6位の東京ヴェルディに敗れたのは、レアンドロ・ドミンゲスの負傷欠場と無関係でなかった。中村と皆川の加入によって、ケガ人が出た場合の大幅な戦力ダウンを避けられる。
 
 上位のチームではなく中位や下位のチームも、夏の移籍市場で戦力補強に動いている。あとは、新たに加わった選手がどこまでチームの弱点を補い、プラスアルファを生み出せるか。
 
 混戦模様のリーグ戦は、まだ結末の輪郭さえ見えていない。