フランスのルーヴル美術館に所蔵されている「ガブリエル・デストレとその妹」は、匿名の画家によって描かれたフランスの絵画で、謎めいたエロチックさから多くの人々を魅了してきました。一見すると同性同士の恋愛を描いているように見える絵画には、別の意味が隠されているそうです。

The Meaning behind Gabrielle D’Estrées and One of Her Sisters - Artsy

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「ガブリエル・デストレとその妹」は正しくは「ガブリエル・デストレとその姉妹ビヤール公爵夫人とみなされる肖像」という名称で、肉感的で女性同士による同性愛ともとれる描写から、19世紀にルーブル美術館がこの絵を取得した際には、職員が絵をシートで覆ってしまったとも伝えられています。



この絵の最大の特長は、ブロンドの女性が隣の女性に乳首を摘ままれているところです。この女性がタイトルにもあるガブリエル・デストレで、時のフランス国王であるアンリ4世の愛人であった女性です。「乳首を摘ままれている」という描写は、ガブリエルが国王の子を身ごもっていることを象徴しており、絵はそのことを妹によって暴露されているところだというのが大方の見方です。



画面中央の奥では侍女とおぼしき女性が縫っているのは、生まれてくる赤ん坊の産着だとのこと。



また、ガブリエルは左手で指輪を摘まむように持っており、これは王との正式な結婚を望んでいることを表しているといわれています。



さらに、画面を縁取る赤いビロードのカーテンや浴槽の中に敷かれた布には「トロンプ・ルイユ(だまし絵)」の技法が使用されており、光の当て方や明暗で2人の人物を浮き立たせるコンポジション(構図)とともに、この絵を印象的なものに見せています。

時代背景によって同性愛的だという誤った解釈がされた絵画ですが、芸術・文化のライターであるハンナ・ウィリアムズ氏は「ガブリエル・デストレとその妹」の魅力を「官能的で奇妙なシーン、記号化された王室の妊娠沙汰、そして露骨な誘惑の意図を持って描かれたエロチックなファンタジー」と語っています。