E657系

写真拡大

 JR東日本は2019年度末までに予定している常磐線の全線再開に合わせて、東京都区内と仙台市内を直通で結ぶ定期特急列車の運転を決めた。現在、常磐線特急「ひたち」「ときわ」で使うE657系、10両2編成を増備。開業時期や運行ダイヤ、料金などの詳細は今後詰める。

 常磐線の富岡駅(福島県富岡町)―浪江駅(同浪江町)間は、11年3月の東日本大震災および福島第一原子力発電所事故の影響で運転を見合わせている。帰還困難区域に指定された地域を通過するため、線路および駅周辺の除染をはじめとする復旧工事を実施中。JR東は東京から仙台への直通特急を、震災復興のシンボルと位置づけて利用促進を図る。
日刊工業新聞2019年7月8日

次は交流拡大へ
 東日本大震災で甚大な被害を受けた鉄道網は、この8年間で鉄道の復旧や、BRT(バス高速輸送システム)化で機能を回復してきた。震災直後に7線区約400キロメートルあった不通区間も、残りは2線区約76キロメートル。2020年3月にすべて解消される見通しだ。地域外へと路線が延びる鉄道やBRTは、生活の足であるとともに、交流拡大への貢献が期待される。

持続可能な形に
 23日にはJR東日本の山田線・宮古(岩手県宮古市)―釜石(同釜石市)間が、第三セクターの三陸鉄道に移管されて運転を再開する。JR東の深沢祐二社長は「復興に当初から関わっており、非常に感慨深い」と話す。

 JR東が原形復旧させて協力金30億円とともに鉄道施設を自治体に無償譲渡。三鉄が施設を無償で借り受けて運行する。当初は「BRTの復旧を念頭に置いていた」(JR東の大口豊執行役員)が、地元が鉄道を活用した復興のまちづくり構想を打ち出したことで、鉄道再開を模索した。

 鉄道の維持は地域に多大な負担を強いるため、持続可能な形とすることが課題だった。三鉄は全国の三セク鉄道の中でも収益性が低く経営は非常に厳しいが、山田線で南北に分断されていた既存路線を一体化することで生産性改善を目指す方針だ。JR東も「我々も応援したい」(深沢社長)と運行面ほかで協力を惜しまない。

 震災前の10年度に同区間の平均通過人員は1日693人。南北のリアス線は、これよりも少ない。到底、鉄道の採算性は見込めないが、沿線住民らが乗って残す“マイレール運動”を繰り広げており生活の足として期待が大きい。今後、鉄道で復旧した効果を、交流人口の拡大にも最大限発揮したいところだ。