韓国・ソウルの観光スポット前に設置されたモダンアート(撮影:川嶋諭)


 日本政府が7月1日、韓国をホワイト国から除外すると発表してから、韓国ではこれに対抗して「韓国も日本製の輸入を規制すべきだ」とか、「日本車などを買うのはやめるべき」とか、ネットではすでに反日の機運が高まっている。

 文在寅政権になってから国民の不満のはけ口となっている青瓦台の国民請願ネット掲示板にも「日本の経済制裁に対する韓国政府の報復措置を要請する」という書き込みが相次いだ。

 また、日本の輸出規制に合わせて韓国民がまず日本の製品に対する不買運動を行い、日本への観光を自粛、政府も関税報復などの措置を取るべきだという書き込みも多い。

 今や韓国では「日本=悪」という公式が成り立ってしまっている。

 日本でも「韓国=悪」になり始めている気もするが、韓国の方が感情的になっているようだ。

 政治的な問題にとどまらず、経済、社会、歴史・・・様々な分野で嫌悪感を抱くようになってしまった。SNSでは韓国も日本も嫌悪感丸出しの書き込みが増えている。

 日本のことはさておき、韓国について言えば、韓国では反日感情を抱かない人に対して「親日派」「土着倭寇」というレッテルが貼られる。

「親日派」という言葉は、韓国では悪い意味以外の何物でもなく聞き飽きた。加えて最近は新しい造語まで飛び出した。

「土着倭寇」という。これはいったいどこから来たのだろうか。

 調べてみると、土着倭寇とは、「自生的な親日賦役者を意味する新造語」と出ている。しかし、意味がよく分からない。

 日本統治期にイ・テヒョンという人が書いた散文集に「土倭」という言葉があり、意味としては「自生的な親日賦役者である」という。

 さらに、1910年の大韓毎日新報では「土倭天地」という文があり、「土倭」を「顔は韓国人だが、腸は倭人である鬼のような者、国を害し民を病に至らせる人種」だと規定している。

 古い文献で「土倭」と書かれたものを最近の社会学者チョン・ウヨンが「土倭」は「土着倭寇」の略語だと解説し、新造語として「土着倭寇」が定着しているという。

 つまり、日本のことを褒めたり日韓関係が良くなってほしいと言う人は、鬼のような人物ということになってしまうようだ。

 日本に対して悪口を言わないと、倭寇にされてしまう現実は嘆かわしい。

 それに、なぜ倭寇なのか。日本に対して嫌悪感を持たずにいることが果たして誰かを略奪することなのか。

 各種報道によると、トヨタコリア、ソニーコリア、ロッテ、ユニクロなどが、不買運動に遭わないか強い懸念を表明しているという。

 しかし、筆者はそこまで心配してしない。なぜなら、こんな日韓の険悪な関係はどこ吹く風というように、韓国の若者世代では「和風」が流行っているからだ。

 最近日本のSNSでも有名になった若い人たちがよく集まる街、ホンデ、シャロスキル、ヨントラパーク、カロスキルに行くと和食のレストランが軒を並べている。

 以前の「日食(和食を韓国では日食という)」は、鮨をメインにして高級なイメージ、おもてなし料理として敷居が高かった。

 それはそれで人気だが、若者たちはお金がない分、そんな高級な日食ではなく、「日本の家庭食」やら「天丼専門店」「ラーメン専門店」「カレー専門店」「居酒屋」などに通う。

 これには、日本の映画「かもめ食堂」やドラマ「深夜食堂」の影響があるといえる。店の外観がほとんど「かもめ食堂」や「深夜食堂」に似た店舗が多いからだ。

 デザートも和風の人気が高い。

 イチゴ大福、サンド、抹茶、餡バターなど、和風デザートを求める消費者が増え、これを販売する店も増えている。

 さらに、日本の製菓専門学校出身の人たちが開業したベーカリーやデザート専門店は行列になるほどだ。

 また、韓国のバラエティ番組は安く行ける日本旅行などを企画し、視聴率を稼いでいる。

 LCC、カプセルホテル、屋台、コンビニ食を紹介し、お金をあまり使わなくても行ける方法を伝授することで、日本旅行ブームに火をつけた。

 東京、大阪、福岡だけでなく、LCCが発着している日本の小都市へ出かける旅も流行している。実際、2018年に訪日した韓国の旅行者数は753万8997人にも上った。

 特に、LCCなどを利用して旅行する韓国の若者の聖地は、ドン・キホーテ、コンビニといえる。

 ドン・キホーテはいわずもがなだが、コンビニでは、卵サンドが大流行で、SNSでは「日本へ行ったら必ず食べるべき!」などのタグがついている。

 実際、日本の卵サンドがヒットしすぎて、韓国でもそれを模倣して売っている店もあるほどだ。

「ほろよい」「いろはす」「ココロジェリー」「キットカット」などは、ドン・キホーテやコンビニで必ず買う品目に入っている。

 旅行ばかりではない。若者の就職が超氷河期に入った韓国に比べ、日本では求人難と聞き、日本へ就職先を求める若者も多い。

 韓国貿易振興公社傘下の貿易アカデミーでは「スマート・クラウドITマスター」というコースを開設し、2001年からこれまで2393人の日本向けの人材を輩出している。

 筆者はJBpressでこのところ「Kビューティー」について連載しているが、実際韓国のビューティ関連のユーチューバーたちも「日本へ行くと買いたい化粧品が多すぎて破産しそう」と話すほど、日本のコスメも人気である。

 しかし、今回の件をきっかけに、韓国で日本車に乗ったり日本の製品をひけらかしたりしない方がいいかもしれないと思っている。

「土着倭寇」のレッテルが貼られるのは嫌だからだ。

筆者:アン・ヨンヒ