誤って10インチ(約25.4センチ)のナイフを顔面に突き刺し、頭蓋骨を貫通し脳の真下にも刃が到達したにも関わらず、視力が損なわれることも大出血することもなく、わずか10秒の施術後24時間以内に退院したという少年の「奇跡」が話題となっています。

Teen survives 10-inch knife lodged in his face: 'It could have been the end of me' - CNN

https://edition.cnn.com/2019/06/17/health/kansas-teen-survives-knife-in-skull-bn/index.html



2019年6月13日(木)、アメリカのカンザス州で暮らすエリ・グレッグという15歳の少年は家の外で兄弟と近しい友人と遊んでいたところ25センチほどのナイフを発見。担当のコージ・エバーソール医師の説明によると、グレッグ少年が年下の子どもたちの手の届かないところにナイフを動かそうとしたところナイフが手からすべり落ち、いったん別の少年の手に渡ったナイフがグレッグ少年の顔面に突き刺さったとのこと。事件が起こった時の状況について、グレッグ少年は「あっという間の出来事だった」と話しています。

写真に写っているのがグレッグ少年。



その後、グレッグ少年の叫び声を聞いた母親が顔面にナイフの刺さったグレッグ少年を発見し、慌てて緊急通報用電話番号に連絡したそうです。

医師によると、頬から入ったナイフは頭蓋骨に突き刺さり、脳のすぐ下にまで達して頸動脈を押していたものの、それ以上の損傷をグレッグ少年に与えていませんでした。視神経を損傷させることも出血が起こることも脳卒中もなかったというグレッグ少年について「奇跡だ」と医師は語っています。



スキャン画像でグレッグ少年の状態を理解した医師らは、翌14日に、ナイフ周辺の血管の様子を注意深く確認しながら、カテーテルや医療用バルーンなどを使ってナイフを除去。作業そのものは10秒ほどで終わったそうです。施術後24時間以内に自宅に戻ったグレッグ少年は「数日間の安静ののち、MRIスキャンで状態を確認するように」という指示を受けただけでした。

なお、グレッグ少年が病院に運ばれてきたとき、エバーソール医師は「またか」と思ったそうです。というのも、2018年にはエバーソール医師が働くザ・ユニバーシティ・オブ・カンザス病院にバーベキュー用の焼き串が頭蓋骨に刺さった少年が運ばれてきたため。この時運ばれてきた当時10歳のシャビエル・カニンガム少年は、ハシゴに登っている最中にハチに襲われ、転倒した際に肉の焼き串の上に着地してしまったそうです。シャビエル少年への処置は無事終わり、予後もよかったため、この時も「奇跡だ」と評されました。

Boy's head impaled by meat skewer after fall from treehouse - CNN

https://edition.cnn.com/2018/09/12/health/meat-skewer-yellowjackets-fall-survival/index.html



エバーソール医師によると、シャビエル少年への処置の経験が、グレッグ少年の処置に大いに生かされたそうです。