「T20」が提言するWTO機能回復のポイントとは?
ーこれまで「T20」として重ねてきた議論の成果をG20会議に先立って政策提言としてまとめられたとか。特徴はどこにありますか。
「世界の貿易制度は保護主義の台頭やデジタル貿易といった新たな課題に十分に対処できていないのが実情です。我々のタスクフォースでは、交渉の場としてのWTOの再活性化ともに、紛争解決機能を復活・強化するための制度改革やデータの自由な流れを促進するためのバランスある国際ルールのあり方について検討を重ねてきました」
「まず、提言の出発点として、世界の通商秩序の基盤として保護主義の抑制やグローバルな経済発展に貢献してきたWTOの多角的自由貿易体制が根底から揺らぎつつあることへの強い危機感があります。その上で、WTOの機能回復に向けた改革案を提示しています」
ーT20には米国の代表も参加していますが、認識は一致しているのですか。
「ええ。彼ら・彼女らはホワイトハウスの意見を代弁しているのではありません。独立した立場として主張できるかはシンクタンクの存在意義にも関わります」
ー交渉機能の回復をめぐってはどのような案を示しているのですか。
「交渉方式の柔軟化です。発足当初のWTOはすべての交渉テーマについて一括して合意を目指す方式が採用されてきましたが、その後、早期に合意できるテーマのみ切り離す方針に転換しました。この結果、貿易円滑化協定が採択されましたが、その他の交渉テーマについてはマルチ(多国間)のレベルでは合意に至っていません。こうした状況を踏まえると『プルリ交渉』と呼ばれますが、志を同じくする複数国で分野を限定した交渉を積極推進すること、マルチであっても異なる達成時期を設けることなども考えられます」
上級委員会の存続を
ーもうひとつの焦点である紛争解決制度についてはどう考えますか。米国は上級委員会(二審制の上級審)がWTO協定で加盟国が合意した権限・手続きを逸脱していると主張して、上級委員の任命を拒否している結果、機能不全が顕在化しています。
