ヒット商品のプリン。牛乳など北海道産の食材が使われている

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<室蘭うずら園>
 うずらの卵を使ったプリンが全国的な人気を呼んでいる室蘭うずら園。農業の6次産業化でモデルケースになりうる企業だ。北海道で唯一のうずら卵生産農場であるとともに、今では売り上げの4割をスイーツ部門が占めるほどに成長している。

 百貨店のお中元、お歳暮商品として、プリンとカステラのセットが人気だ。富裕層向けにやや高めの価格設定だが、それに見合う材料と味を提供する。うずらの卵はもともと栄養価が高い。エサに魚粉を多く含むので、ビタミン、ミネラル、タンパク質などが豊富。欠点だった臭みも、世界的に有名なアイスクリーム企業が使う卵と鶏のエサを研究して克服した。「良いものは安易に安売りしてはならない」(三浦忠雄社長)が持論で、顧客のターゲットを絞り、オンリーワンの商品を開発、さらには安全と味を担保する高品質商品を製造し、適正価格で販売していく。

 三浦社長はホクレン勤務時代に食品衛生管理「HACCP」を担当し、全国の食品工場を検査していた。その過程で菌の勉強をするなか、鶏のサルモネラ菌汚染は種の移動、すなわち他所から鶏を仕入れるため発生することを学んだ。そこでホクレン定年後、一切ヒナを購入しておらず、薬も使っていない同うずら園を知人と共同購入。2010年(平22)には社長に就任して経営にあたった。

 当初はエサや灯油の値上がりなどで経費がかさみ、苦しい経営が続いた。反転攻勢に転じたのはプリンの成功が大きい。材料を吟味、レシピを研究し、全国で開催される北海道物産展に出展。消費者、バイヤーの意見を取り入れながら、5年を費やして商品開発した。

 現在はうずら10万羽を飼育、プリンは年間30万個生産している。「6次化最大のハードルは流通」(同)とし、ホクレン時代の経験を役立てつつ、年間140回を重ねる物産展出展を通じたマーケティング重視の姿勢は、今後も続けていく考えだ。

 胆振東部地震は年2回行う孵化作業の1週間後だった。「停電が孵化に影響しなかったのは不幸中の幸い」(同)と胸をなでおろしている。生き物であるうずらを扱うだけに、単純な事業拡大には走れない。ゆえに付加価値を高めるため、一層のブランド力向上を課題に掲げる。「そのための近道は、うずら業界で日本一になること」(同)と意気盛んだ。

所在地=北海道室蘭市石川町282-5、社長=三浦忠雄氏、設立=1982年(昭57)、資本金=5000万円、社員数=25人