【ACL2019展望】広島は難敵揃いのグループに、本田圭佑の凱旋にも注目〜グループF〜

写真拡大 (全6枚)

3月5日(火)、2019シーズンのアジア王者を決めるAFCチャンピオンズリーグ(ACL)が開幕する。日本からは、Jリーグ王者の川崎フロンターレ、天皇杯王者の浦和レッズ、そしてプレーオフを勝ち上がった、サンフレッチェ広島、鹿島アントラーズの4チームが出場する。

東地区のグループFに入ったのは、2018シーズンのJリーグで2位、プレーオフを勝ち抜いたサンフレッチェ広島だ。

今回は、広島が入ったグループFの各チームのACLにおける成績や注目選手などを紹介したい。■グループF



大邱FC(韓国)

広州恒大(中国)

メルボルン・ビクトリー(オーストラリア)

サンフレッチェ広島(日本)

★POでの苦戦を跳ね返し、アジアタイトル獲得へ!

サンフレッチェ広島(日本/5回目)

【出場資格】

明治安田生命J1リーグ2018 2位

【前回出場】

2016年

【前回大会】

不参加

【最高成績】

ベスト16(2014)2018シーズンは序盤首位を独走。2017年の残留争いから一転、生まれ変わったチームは周囲を驚かせた。しかし、後半戦に入り失速。最終節でもなんとか粘り、2位でシーズンを終えた。

ACLに出場するのは、2016シーズン以来3年ぶり。最後にリーグ制覇を成し遂げて以来の出場となる。しかし、ケガ人を含めたチーム事情の関係で、プレーオフのチェンライ・ユナイテッドFC戦は大苦戦に。若手主体で臨むと120分間を通してゴールレス。PK戦で勝ち上がることに成功した。

ACLを考慮し補強に動いたものの、DFエミル・サロモンソン以外は稼動できていない状況。ACLという舞台でしっかりと復帰できるのかが、今大会の行方を左右することになるだろう。

【注目選手】
Getty Images
FWパトリック(ブラジル)

1987年10月26日(31歳)注目は昨シーズンのチーム得点王でもあるパトリックだ。ガンバ大阪からの期限付き移籍で加入した昨季は33試合で20ゴールを記録。持ち前の得点力を最大限に発揮できたシーズンだった。

今シーズンからは背番号10を背負い、気持ちも新たにピッチへと立つ。FWドウグラス・ヴィエイラ、FWべサルト・ベリーシャ、DFエミル・サロモンソン、そしてMFハイネルと外国人枠の争いもある状況。エースとしての活躍を見せ、初のアジア制覇を掴み取る原動力になれるかに注目だ。

★中国の巨人が3度目のアジア制覇を目指す

広州恒大(中国/7回目)

【出場資格】

中国スーパーリーグ2018 2位

【前回出場】

2018年

【前回大会】

ラウンド16敗退

【最高成績】

優勝(2013、2015)言わずと知れた中国の強豪クラブ。“爆買い”で注目を集めていこうは、着実に国内外で結果を残し、アジアでも有数のクラブに成長した。

指揮を執るのは、イタリア代表としてもワールドカップ優勝を経験し、バロンドールも受賞したことのあるファビオ・カンナバーロ監督だ。2017年から指揮を執るとリーグ7連覇を達成。しかし、2018シーズンはその連覇がストップしてしまった。

今シーズンは、バルセロナからパウリーニョを買い戻すと、ベンフィカからブラジル代表MFタリスカを獲得。さらに韓国代表DFパク・ジス、エバートンからも元U-21イングランド代表DFティアス・ブラウニングを獲得と余念がない。3度目のアジア制覇に向けて、中国の巨人が動き出す。

【注目選手】
Getty Images
MFタリスカ(ブラジル)

1994年2月1日(25歳)パウリーニョにも注目だが、今回はブラジル代表MFタリスカをピックアップ。ベンフィカで頭角を現したタリスカは、強烈なシュートと正確なキックを持つレフティ。プレースキックも精度が高く、190cmの長身をも武器とする。

ベシクタシュへのレンタル期間を経て2018年7月に広州恒大へレンタル移籍。するとその才能に広州恒大は買取オプションを行使した。タリスカとパウリーニョの中盤の構成力は高く、 アジアの覇権奪還に向けた広州恒大躍進の原動力となりそうだ。

★新興勢力として結果を残せるか

大邱FC(韓国/初出場)

【出場資格】

韓国FAカップ2018 優勝

【前回出場】

-

【前回大会】

-

【最高成績】

-2002年に韓国初の「市民サッカークラブ」として誕生。長らくKリーグに所属していたが、2012年に降格。2016年にはKリーグチャレンジで2位となるも、安山ムグンファFC(現在の牙山ムグンファFC)が規定により昇格できず、繰上げでKリーグクラシック(現在のKリーグ1)へ復帰した。

2018シーズンは7位でリーグ戦を終えるも、韓国FAカップで優勝。クラブ初タイトル獲得となった。

チームには、クラブ初となる日本人選手としてMF西翼が在籍。西は、Jリーグを経験せず、専修大学卒業後、ポーランドやスロバキアのクラブでプレーしていた。また、韓国代表GKチョ・ヒョヌも所属している。

【注目選手】
Getty Images
GKチョ・ヒョヌ(韓国)

1991年9月25日(27歳)新興勢力ではある大邱FCの注目選手は、韓国代表GKチョ・ヒョヌだ。世代別の韓国代表を経験してきたチョ・ヒョヌは、2017年ごろからA代表に定着。第3GKの立ち位置が長らく続いたものの、ロシア・ワールドカップ直前でポジションを奪い、グループステージ3試合でゴールを守った。

その後は再び控えに回り、アジアカップでは出場機会がなかったものの、チームとして初のACLを戦う上では欠かせない存在。ロシアで見せたパフォーマンスで、最後尾からチームを支える。

★本田圭佑が初のACLでチームを牽引できるか

メルボルン・ビクトリー(オーストラリア/7回目)

【出場資格】

Aリーグ2018グランドファイナル 優勝

【前回出場】

2018年

【前回大会】

グループステージ敗退

【最高成績】

ベスト16(2016)2018シーズンのAリーグを制したメルボルン・ビクトリー。これまでのACLではグループステージ敗退となったが、今シーズンは大きな補強を見せた。

元日本代表MF本田圭佑をパチューカから獲得すると、トゥールーズからスウェーデン代表FWオラ・トイヴォネンも獲得。経験のある選手を獲得し、アジアタイトルを目指す。

今シーズンのAリーグでは、ここまで3位につけており、まずまずの結果を残している。ケガで離脱していた本田も復帰し、ACLへの準備は万端だ。

【注目選手】
Getty Images
MF本田圭佑(日本)

1986年6月13日(32歳)今シーズンからメルボルン・ビクトリーに加入した本田圭佑をピックアップ。名古屋グランパス時代はACLとは縁がなく、出場となれば、自身初の挑戦となる。

CSKAモスクワ時代にはUEFAチャンピオンズリーグにも出場経験があり、2つの大陸でチャンピオンズリーグを経験することに。広島との対戦では日本凱旋も期待され、メルボルンにとってもアジア制覇へのキーマンとなるだろう。

★広島は難敵揃いのグループで厳しい戦いに

昨シーズンのJリーグ2位・サンフレッチェ広島が入ったグループFは、ACLを制したこともある広州恒大、本田圭佑が所属するメルボルン・ビクトリー、そして韓国の大邱FCが同居する。

グループFの勝ち抜け争いは、ACLでの経験値、そして戦力値を考えると、広州恒大が頭1つ抜け出ている状況だろう。バルセロナから買い戻したMFパウリーニョ、ベンフィカから購入したMFタリスカと2人のセレソンが中盤を構成。ファビオ・カンナバーロ監督が率いるチームは守備も固く、グループで1番の力があると言えるだろう。

対抗馬となるのは、広島、そしてメルボルン・ビクトリーだろう。広島は3年ぶりのACL出場となり、前回出場時から選手も入れ替わっている。それでも、MF青山敏弘やDF水本裕貴など経験豊富な選手も多く、FWパトリックはガンバ大阪時代にも出場。そのほか、FWべサルト・ベリーシャは、メルボルン・ビクトリー時代にACLを経験している。2018シーズンの後半戦の失速で、勝負弱さを露呈ている部分が気になるが、城福浩監督がどこまでチームを再構築したか。若手選手も多く所属するだけに、結果を残しながら成長を促したい。

一方のメルボルン・ビクトリーは、何と言っても本田圭佑に注目が集まる。CSKAモスクワ時代にUEFAチャンピオンズリーグを経験している本田だが、ACLの出場は今回が初めて。広島との対戦では日本代表以外での初の凱旋となり、大きな注目が集まる。チームにもすっかり馴染み、違いを見せている本田がどこまで牽引できるか。また、アジアタイトルを目指し、スウェーデン代表FWオラ・トイヴォネンも獲得しているだけに、攻撃面で力を発揮できるかがカギとなる。

初めてACLの舞台に立つ大邱FCに関しては未知数だ。Kリーグ1でも7位と結果を出せなかったものの、FAカップを制して出場権を獲得。日本人MF西翼がどんなプレーを見せるかにも注目だ。