「あおり運転」の原因を作るマナー違反(1) 追い越し車線を走り続け、車線をふさぐ違反

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 「あおり運転」の挙句、殺人事件にまで至る異常者が出現している。一方で、その原因を作る運転マナーの低下が心配だ。原因の1つには、あおり運転をされる側の問題もありそうだ。「自分は法定内スピードで、安全運転をしている」と思っている人は、もう一度、自分の運転が他人からどのように見えるかを振り返ってみるほうが良いだろう。

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 あおり運転をして暴力事件まで起こす人は、かなりの少数者だ。普通に走っていれば、喧嘩にもならないはずなのだ。しかし時折、高速道路の追い越し車線を走り続ける車を見かける。運転をしていて、昔よりも出会う頻度は多くなっているように思う。

 車線変更が苦手な人もかなりいるようで、3車線の道路では中央を走りたがる人が多い。左2車線を走行車線としているところならばよいのだが、特に、2車線道路で追い越し車線をふさいでしまうことは、「あおり運転」を誘発してしまうことを知ってほしい。もちろん、あおるほうが良くないのだが、追い越し車線をふさぐことが原因となっていることに注意が必要だ。

 追い越し車線を走り続けることは、道路交通法(道交法)違反だ。特に何キロ走ったら違反と決められているのではなく、安全に追い越したら、安全に走行車線に戻ることが必要なのだ。道交法の目的は、安全で円滑であること。安全を重視しすぎると、円滑さを損なうことがあるため、両方のバランスを取れた状態にすることが目的なのだ。だから、法定速度を守っていても円滑さを失っていたら、安全でなくなることもありうるのだ。そのため、「法定速で走っているから、自分は安全運転だ」という思い込みは禁物だ。

■「何キロぐらい追い越し車線を走ってもよいのか?」は愚問

 あまり飛ばさず、追い越しもあまりかけない大人しい安全運転を心がけている人がいる。それは良いのだが、たまに追い越しをかけても前車との速度差を考えていない運転者は危険だ。

 100km/hぐらいで走行車線を走っていても、速度を一定に保てない人も多い。前車が90km/hぐらいに速度が落ちてくると、100km/hで追従している場合、抜きたくなってしまう。せっかく追い越し車線に入って抜きにかかるのだが、今度は抜かれた車が速度低下に気付いたのか、スピードを上げてしまう人も多い。その場合は厄介だ。抜いてしまうには100km/hを確実にオーバーしなければならない。だから、自然にスピードオーバーとなってしまうのだ。

 また、その2台の車の後ろから見てみると、いつまでも追い越し車線をふさいでしまうことになり、その後ろの速いクルマは「イライラ」してくる。それが、極端な人同士だと喧嘩になる恐れがある。同時に、いつまでも追い越し車線を走った車は違反行為となってしまう。このような状態をどう判断するかだが、「追い越し車線を何キロ走ったら違反になるか?」と考えるのは愚問だ。

 次は:結果的に「法律」を守れない行政の在り方を考えよう。