Netflix『アメリカを荒らす者たち』シーズン2、お馬鹿なテーマに隠された切ない若者の心の闇

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昨年公開されたシーズン1では、主人公たちが卑猥な落書き事件の真犯人を突き止めていく姿を描いたNetflixオリジナルシリーズ『アメリカを荒らす者たち』。エミー賞脚本賞にノミネートされるなど好評を博した同シリーズだが、その続編となるシーズン2の配信が9月14日(金)にスタートした。

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◆名門高校で集団おもらし事件発生
誰が卑猥な絵を描いたのかを探るシーズン1の「ハノーバー高校落書き事件簿」で、見事に真犯人を見つけ出したピーターとサム。彼らの手腕を知った高校生クロエは、今度は自身の高校で起きている事件について調べてくれるように依頼する。

クロエが通うのは金持ち名門学校のセント・バーナディン高校。事件が起こったのは11月6日のランチタイム。全校生徒の大部分が学食でレモネード飲んだとたんに下痢を起こし、トイレに間に合わない生徒があちこちにお漏らしするという集団おもらし事件が起きた。

犯人はInstagramで「タードバーグラー(糞泥棒)」と名乗り、その後も、タードバーグラーによる排泄物を使った嫌がらせが起きているという。世間体を気にする学校側は一人の生徒にすべての責任を負わせるが、クロエは彼の無実を主張する。ピーターとサムは、この事件の犯人を突き止めることができるのだろうか?

◆お馬鹿なテーマは健在もより深く真実を探る!
シーズン1ではいたずらの落書き犯を探した二人だが、シーズン2では下剤薬を使ったいたずらで、一つ間違えれば死人が出ていた事件を扱うことになる。この事件は警察の捜査も入り、落書き事件のシーズン1よりも大きなスケールで描かれているが、いたずらのスケールだけでなく真相に迫る過程もより大きく、深くなっているのだ。

米IndieWireは、ただの高校生のいたずらを扱ったものではないとしてこのシーズン2を評価。「シーズン2は、現代のアメリカの高校生たちが経験しているもう一つの真実を見つけることで、物語はクライマックスを迎える」と書く。そう、物語の焦点は、アメリカだけでなく世界の多くの国で話題に上がっているSNSやプライバシーの流出、希薄な友人関係などの問題である。そのため、誰もが共感とともに危機感を持って観ることができ、物語のなかに引き込まれていくのだ。

このようなヘビーな要素が満載であるため、「シーズン1と比べると笑えない」とするのは米Hollywood Reporterだ。しかし、ただの下品な番組から脱皮しようとする意図が伺えるとして辛口ながらも高評価をしている。

確かにシーズン1のような笑いを誘うくだりは少ないが、英語圏の子どもが歌う「ミルク、ミルク、レモネード、角を曲がったらチョコファッジが作られるとこ」になぞらえてレモネードに下剤を入れるシーンがあったり、事情聴取風に顔を見せる登場人物がまじめな顔で「ウ〇コ」を連発するなど、お馬鹿な感じは健在である。(歌を和訳すると「乳、乳、お〇っこ、後ろからはウ〇コ」といったもので、どこの国でも子どもはウ〇コという言葉が好きである)

一見、完璧に見える学校の生徒に降りそそぐ「SHIT(ウ〇コ)」。完璧に見えても「中身はSHIT(くだらない)だ」とあざ笑うタードバーグラー。ぜひ、ネタバレ記事を目にする前に見て欲しい。

『アメリカを荒らす者たち』シーズン2はNetflixにて配信中。(海外ドラマNAVI)