企業の基礎研究、大学依存度高まる。拭えない懸念
企業論文全体が減る中で、企業単独の論文から産学連携の共著論文にシフトしている。NISTEPの伊神正貫科学技術・学術基盤調査研究室長は「企業が製品開発など短期的な開発に研究投資の重心を移し、中長期的な研究は大学との連携を活用しているのではないか」と指摘する。
企業論文が減る大きな要因としては、企業研究の応用シフトと研究成果の秘匿化の二つが挙げられる。NISTEP調査では96年からの約20年間は研究開発費総額は増加傾向にあり、国内外への特許出願数は横ばい傾向にある。投資総額は増えているため基礎研究の規模は維持され、成果を公表しない研究が増えた可能性もある。
だが産業界ではオープンイノベーションが浸透している。企業と大学の1対1の共同研究だけでなく、多対多の産学連携が進んでいる。内閣府の総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)の橋本和仁議員(物質・材料研究機構理事長)は「基礎研究などは、企業単独で進めるよりも大学や国研を中心に業界で連携した方が効率が良い」と強調する。
NISTEP調査でも特許の出願数が維持されており、基礎研究のみで秘匿化が進んだとは言いがたい。企業研究の応用シフトが進んで基礎研究での産学連携への依存度が高まると、大学の研究力低下が企業の基礎研究力低下につながる可能性も高まる。
(文=小寺貴之)
