エウロパのイメージ。

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 エウロパにおける生命体の痕跡が、わずか1cmの掘削で発見できる可能性を示す論文が発表される。今後予定されている探査機着陸計画をより確実に実行するための大きな足掛かりとなるに違いない。

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 エウロパはイオとともに木星の衛星として知られ、ほぼ月と同じくらいの大きさである。イオが激しい噴火活動を続ける衛星であるのに対し、エウロパは少なくとも厚さ3km以上の固い氷で覆われた衛星だ。その内部は深さ数十から百数十kmの海になっていると考えられており、土星の衛星エンケラドスとともに地球外生命体探査の主要な対象となっている。1990年代にはガリレオ探査機によって観測が行われ、海の存在を思わせる地形が発見されるなど注目を集めた。最近、当時のデータからエウロパが宇宙空間に向け間欠泉のように水を噴出していることを示す証拠が見つかり、エウロパ内部の海の存在をより強く肯定した矢先だった。

 地球外生命体の探査における目的の一つに有機物試料の採取が挙げられる。その点、エウロパの表面は木星磁気圏の厳しい放射線環境の影響を受けているため、エウロパ表面に残る生体分子は破壊されている可能性がある。そのため、エウロパで有機物試料を得るためにはその固い地表面を数メートルほど掘削する必要があると考えられていた。

 今回Tom Nordheim(宇宙物理学)博士らはエウロパ表面に衝突する高エネルギー粒子の影響をモデル化、放射線がどれくらいのスピードでアミノ酸を破壊するのかについて推定値と実験室でのデータを比較した。その結果エウロパの中緯度から高緯度にかけての比較的若い領域において、検出可能なアミノ酸がわずか1〜3cmの深さに存在している可能性を突き止めた。Nordheim氏らはこの結果から、将来的に行われる探査機着陸計画において、その着陸点を慎重に選べばわずかな掘削で済むだろうと結論付けた。

 アメリカ航空宇宙局(NASA)では2020年代にエウロパのフライバイミッションを行い、探査機着陸を早ければ2031年に計画している。確実にサンプルを回収するために、人類にとっては決して短くない時間をかけ我々は一歩づつ、だが確実に宇宙の謎を解き明かしていくに違いない。