国に言われた以上の改革をするのが「指定国立大学」だ!
文科省 改革のリード役促す
国は一般に改革推進のツールとして予算事業を位置付けることが多い。しかし指定国立大ではこの予算支援措置がない。世界トップ大学と伍(ご)する大胆な方策を採る大学に、規制緩和や旧7帝大に替わる新ブランドを与え、改革をリードしてもらうとする。
また寄付金を原資に為替や社債に投資する資産運用が、国立大全体で可能になっている。その元手となる基金を、まず東大が100億円に拡充すると公表。これが刺激となったのか、第2陣の東工大と名大も同額の基金を明示した。文科省高等教育局の義本博司局長は「東大だけ別格、というような固定的な意識を変え、研究型大学が切磋琢磨(せっさたくま)するようになってきた」と指摘する。
また、「プロボスト(総括副学長、筆頭理事)」制の導入は東大以外の4大学が表明した。プロボストは部局の意思統一など学内のまとめ役だ。対して学長は、学外資金獲得を中心とする渉外活動に注力するという米国大学流の仕組みだ。自由度の高い資金を自ら増やし、教育・研究を高度化する各手法はいずれ、他の国立大も導入を迫られることになるかもしれない。
東工大 産学連携支援で新会社
「世界の多くの国で大学に対する政府支援が低下し、自ら大学経営を強化する時代。稼いで投資する“経営”をしないと世界の有力大学と競えない」。東工大の佐藤勲総括理事・副学長は強調する。
同大では益一哉学長が4月に就任し新執行部体制となる中、佐藤総括理事は前執行部の下での副学長として2度の指定国立大の申請に関わり、指定を受けてプロボストに就任した。それだけに意識は高い。「これまでされてなかった学内の部局を評価し、競わせる仕組みを18年度中に導入したい。(教育・研究など)学内の力を伸ばす、その任にあるのがプロボストだ」と自負する。
同大は産学連携支援の新会社を設立する計画だ。産学共同研究に関わる教員100人程度を大学と新会社のクロスアポイントメントに変え、通常の運営費交付金に企業資金を組み合わせた形の人件費支払いにする。文科省、経済産業省の指針に示された方策を、改革派として先取りする。
JR山手線・田町駅近くの田町キャンパス(東京都港区)に、32階建てなど事務所・商業の複合ビルを建設する再開発も大きい。手法は従来型の官民パートナーシップ(PPP)などだが、予想収入は年10億円に上る。
一方、同大を社会における科学技術のファシリテーターと見なして「未来社会デザイン機構」も新設する。学外の多様な人と議論して未来を描くことで、研究が研究で終わらない道筋を付ける場だ。社会をリードして外部資金を獲得する、プラスのスパイラルに向けて同大は進み出した。
名大 岐阜大と経営統合協議
名古屋大学は一つの国立大学法人で複数の大学を運営する「マルチ・キャンパス」構想を掲げる。各大学の強みを生かして教育や研究を強化、外部や公的な資金をより多く獲得して競争力を高める。「全部自前ではなく補完し合い、自分たちで強くなる」(渡辺芳人副総長)と強調する。
