「シェアハウス」倒産にみる不動産業界の“変調”に要注意
長期の家賃保証をうたい文句にしたアパート、マンション経営は借り入れを起こすことによる節税や相続税対策に有効なこともあって富裕層のみならず地方の高齢者の人気も集め、マイナス金利下の利ざや縮小に悩む金融機関にとってもこれらの不動産融資が格好の受け皿となってきた。
しかし、一方では定期的な家賃の更新があり、空室や老朽化で値下げを余儀なくされること、メンテナンスや補修の費用がかさむことなどのデメリットも指摘されている。
今回はサイド・ビジネスとして不動産経営を手がける“サラリーマン大家”の存在が注目を集めたが、「すでに融資が降りにくくなっている」(地方銀行)と言い、影響が出始めているようだ。
約1年前、一部の地銀が中堅・中小企業へのリスク・マネー供給に消極的で外債投資や不動産融資へ傾斜していることが問題視され、金融庁が抑制に動いたことも背景にはある。
現在、不動産業界は五輪関連の特需でホテルや大規模商業施設の建設ラッシュが起こり、オフィスビルも好調そのもの。「不動産業界全体としてみると、特別に警戒を要する水準には達していない」(政府関係者)とみられている。
ただ、あまりに価格が高騰したマンション分譲や一戸建て住宅では販売不振や在庫の問題があり、年明け以降、実際にいくつかの企業について先行きを不安視する声も上がり始めた。スマートデイズの倒産が意味するのは、不動産業界で出始めた変調の兆しであるかもしれない。
(文=帝国データバンク情報部)
