電柱が不要になる? NTTドコモが開発した国内初「マンホール型基地局」は何がすごいのか

NTTドコモによると、マンホール型基地局を開発するに至った経緯は、
・観光地や景勝地など、アンテナ設置の場所がないエリア対策
・人が集まる場所における通信速度の低下対策
だという。
一般的に、携帯電話の基地局は、
・ビルの屋上
・電柱
・鉄塔
など高い場所に設置する。
これは照射する電波は、
・障害物に当たることで劣化する
・障害物にあたり反射する
といったことで、通信品質が低下することを回避するためだ。
つまり、見通しのよい高い位置から、電波を照射するのが効率的なのだ。
ところが「マンホール型基地局」は、
こうした、これまでの通信の常識を覆すものだ。
NTTドコモによると、
・地上からおよそ70cmの深さの穴を掘り、そこに専用の基地局を設置
・地上からおよそ10cm程度の深さの位置に、電波を照射するアンテナを設置
これで半径90m程度のエリアをカバーできるという。

サービスエリアイメージ
この「マンホール型基地局」、ドコモは専用基地局の開発だけをしたわけではない。
実は、マンホールの「蓋」までNTTドコモが開発したというのだ。
従来の鉄製の蓋では電波を遮断してしまう。
そこでFRP(繊維強化プラスチック)を使ったマンホールの「蓋」を開発した。
このFRP製のマンホールの蓋は、景観に合わせてデザインも変更できるという。
さらに厚さ5cm、約27kgのFRP製マンホールの蓋は、25トンまでの重さにまで耐えることができるのだとか。

マンホール型基地局のイメージ
このマンホール型基地局は、将来的には5G(第5世代移動通信システム)の基盤としても利用が可能だという。
現時点での設置費用は、1カ所あたり約1,000万円だそう。
画期的なマンホール型基地局だが、今すぐ実用化されるわけではない。
NTTドコモでは、照射される電波が人体に影響のない値で運用できるよう、今年3月から実証実験を実施しているそう。
さらに今後も複数の場所での実証実験をおこない、2018年度中の実用化を目指すとのこと。
・地上からではなく地下から電波を照射
・電波が遮断されないよう専用の「蓋」も開発
・人体への影響がないような値で運用
・設置費用は1カ所あたり1,000万円程度
・今年度中の実用化を目指す
といった点が、今回のマンホール型基地局のすごいといえるポイントだ。
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