10日放送、「戦え!スポーツ内閣」に、阪神タイガースの糸井嘉男が出演。野手に転向した際の恩師が、驚きの育て方を明かした。

2004年に北海道日本ハムファイターズに投手として加わった糸井は、制球難に苦しみ、入団から2年で1軍登板が一度もなく、3年目に野手へと転向した。そのとき指導にあたったのが、現在は千葉ロッテマリーンズの2軍打撃コーチを務める大村巌だ。

同じく投手から野手に転向し、ロッテでクリーンアップを務めた経験を持つ大村は、日ハムの2軍打撃コーチに就任したばかり。コーチ1年目だったにもかかわらず、わずか1カ月で糸井をデビューさせられるまでに育て上げろと球団から指令を出されたという。

自身の経験から2年は必要と考えていた大村は、急ピッチでマンツーマン指導をする中で、糸井には天才的な「見て覚える能力」があると気づいた。そこで、50項目に及ぶ打撃法を、自身のフォームをマネさせながら伝授。「吸収力はハンパなかった」と振り返る。

だが、大村は、糸井から逆に教えられたこともあると明かした。ある日、練習中「ダメ」を連呼してしまったときのことだ。「そんなダメダメばかり言っていたら、ホンマにダメになるでしょう!たまには褒めてくださいよ!」と、糸井から怒鳴られたのだ。

指導法やアプローチに悩んだ大村は、何気なく立ち寄った書店でたまたま一冊の本を見つけた。それが、子犬が表紙のペットの育て方の本だ。そこに記されていた「しつこく叱らない」「できたら褒める」といったしつけを、「明日から糸井にやってみよう」と試みたのである。

すると、糸井のモチベーションが上がり、うまく軌道に乗っていくことに。スタッフから「子犬の本のおかげですか」と問われると、大村は「そうですね」と薄く笑みを浮かべた。

3年後にレギュラーの座を手にした糸井は、プロ野球史上初の6年連続打率3割・20盗塁・ゴールデングラブ賞獲得を達成するなど、球界を代表するスラッガーへと成長した。

その後、中田翔や筒香嘉智らの才能を大きく育んだ大村は、「あのとき糸井からコーチとして勉強させてもらった。糸井さんのおかげです」と、笑いながら感謝の言葉を述べた。