今季不動のレギュラーとしてDeNA打線を牽引したホセ・ロペス【写真:荒川祐史】

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10勝のウィーランド、打点王&最多安打の2冠のロペスら4助っ人は残留

 DeNAにとっては大きな躍進の一歩となる2017年だった。昨季は11年ぶりのAクラスに入り、球団史上初のクライマックスシリーズ出場。そして、今季は73勝65敗5分で16年ぶりにシーズン勝ち越しを成し遂げた。3位に入り、2年連続のクライマックスシリーズ(CS)出場。そしてCSでは2位阪神、リーグ連覇を果たした広島を打ち破り、19年ぶりに日本シリーズにも進出した。

 パ・リーグ覇者ソフトバンクとの日本シリーズでは3連敗のあとに、2連勝したものの、第6戦で延長戦にもつれ込む大激戦の末に敗戦。悔しさも味わった。若手は着実に成長し、チームの骨格が固まってきつつある。1998年から遠ざかっているリーグ優勝に向けて、収穫と課題の双方を得ることが出来た1年になったのではないだろうか。

 助っ人補強もある程度は、成功だったと言えるだろう。投手陣は、先発ローテを期待されたフィル・クライン投手は2勝止まり。シーズン中に右肘痛を発症し、シーズン中にアメリカに帰国したのが誤算だったが、一方でジョー・ウィーランド投手は2桁10勝をマーク。スペンサー・パットン投手は勝利の方程式に組み込まれ、シーズン途中に日本ハムから移籍したエドウィン・エスコバー投手も中継ぎとして戦力になった。

 野手では2015年から在籍しているホセ・ロペス内野手が最多安打と打点王の2冠を獲得し、筒香嘉智とともに打線の中核として君臨。一方で2年目となったエリアン・エレラ内野手、今季加入したアウディ・シリアコ内野手は結果を残せず。特にエリアンは外国人枠の関係で、なかなか出番に恵まれなかった。

 ここでは今季DeNAに在籍した外国人たちの成績と働きぶりを見ていきたい。

○ジョー・ウィーランド
21試合(21先発)10勝2敗 17QS 防御率2.98
133回114安打37四球2死球14本塁打112奪三振 WHIP1.14 
54打数11安打3本塁打12打点 打率.229

 パドレズ、ドジャース、マリナーズなどを経て、今季から加入。先発ローテに入ると、クラインと対照的に結果を残した。初勝利は4月末と時間がかかったものの、2桁10勝をマーク。勝ち星と同等に評価すべきは、わずか2敗という黒星の少なさと、6回自責点3以内のクオリティースタート(QS)を21試合中17試合で達成している点。約1か月の離脱があったため、規定投球回には到達していないが、QS率は80%を超える。また3本塁打を放った打撃も魅力の1つ。このウィーランドの打力があったことから、DeNAが8番に投手を置くようになったと言われている。来季の残留も決定している。

パットンは勝利に方程式定着も、期待のクラインは…

○スペンサー・パットン
62試合(0先発)4勝3敗27ホールド7セーブ 防御率2.70
60回 50安打19四球2死球4本塁打66奪三振 WHIP1.15

 ロイヤルズ傘下、レンジャーズ、カブスを経て、今季からDeNAに入団。開幕からセットアッパーとして起用されると、4月半ばからは不調だった山崎康晃に代わってクローザーも務めた。5月下旬には再びセットアッパーに戻り、最終的には62試合に投げて27ホールド7セーブと勝利の方程式として結果を残した。来季の残留も決まっている。

○フィル・クライン
7試合(7先発)2勝3敗 1QS  防御率4.75
36回 35安打22四球3死球5本塁打27奪三振 WHIP1.58

 レンジャース、フィリーズを経て今季からDeNAへ。年俸1億5000万円という高額年俸だっただけに大きな期待を寄せられた先発候補だった。ウィーランドとともに開幕ローテに入ったものの、なかなか結果を残せずに6月に登録抹消。36回で25四死球と制球に難があった。さらには右肘痛を発症し、8月にその治療を理由に帰国。そのまま再来日することなく、オフに自由契約となった。

○エドウィン・エスコバー
27試合(1先発)1勝3敗7ホールド2セーブ 0QS 防御率3.44
34回33安打11四球1死球4本塁打33奪三振 WHIP1.29

 ダイヤモンドバックスから今季、日本ハムに加入した左腕だったが、外国人枠の兼ね合いもあって7月にトレードでDeNAへ移籍。ロングリリーフも出来る使い勝手の良さもあって、移籍後は1軍で起用されると、夏場にはパットンとともにセットアッパーとしての登板も増加。チームの日本シリーズ進出に貢献し、来季も残留することが決定している。

熾烈な外国人枠争いに敗れたエリアン、シリアコは退団へ

○ホセ・ロペス
142試合569打数171安打30本塁打105打点 打率.301
27四球80三振 出塁率.330 得点圏打率.322 OPS.863

 来日してから5年間、成績を残している優良助っ人の1人だろう。メジャーでも通算1000安打の実績を誇り、ホワイトソックスから2013年に巨人に入団。1年目に打率.303、18本塁打と好成績を残す。2年目に数字を落としたことで巨人を自由契約となり、DeNAが獲得。移籍1年目に来日後最多となる25本塁打を放つと、昨季は34本塁打。そして今季は打率.301、30本塁打、105打点と3割30本100打点をクリア。最多安打と打点王のタイトルも獲得し、来日後最高の成績を残した。2年契約のため、来季残留は決まっている。

○エリアン・エレラ
25試合56打数14安打1本塁打1打点 打率.250
6四球22三振 出塁率.323 得点圏打率.000 OPS.644

 ドジャース、ブルワーズなどを経て、2016年5月にDeNAへと移籍。シーズン途中加入となった1年目は79試合に出場して打率.218だったが、2年目の2017年も残留。だが、キャンプ中に右手を故障し、さらに外国人投手3人が加入、主砲のロペスもいることから、外国人枠の関係でシーズンの大半でファーム暮らしを余儀なくされた。今季は、わずか25試合出場に終わり、オフに自由契約となった。

○アウディ・シリアコ
12試合27打数2安打0本塁打0打点 打率.074
1四球10三振 出塁率.111 得点圏打率.000 OPS.218

 タイガース傘下、マーリンズ傘下など米マイナーリーグを経て、2016年はBCリーグの石川へ。石川で打率.323、15本塁打、53打点と結果を残し、今季からDeNAに加わった。開幕スタメンにも名を連ねたものの、結果が出ず。ロペス、クライン、ウィーランド、パットンで外国人枠が埋まり、クラインが抹消された後にはエスコバーが加入。外国人枠にも阻まれて、わずか12試合出場に終わり、オフに自由契約となった。(福谷佑介 / Yusuke Fukutani)