難治性と言われるかゆみには、他にも肝硬変や肝臓を患うことで併発する原発性胆汁性肝硬変もあるという。肝臓の中の胆管が炎症によって破壊され、胆汁の中にビリルビンと呼ばれる成分が全身に回り、激しいかゆみを生じてしまう。しかし、これまでは原因不明とされてきたオピオイドの発見により、新たにナルフラフィン(オピオイド受容体作動薬)の効用も確認されているという。
 「ただ、こうした動きも、はっきりしたメカニズムは分かっていないことが多いのが現状です。胃や肝臓、腎臓、膵臓などのがんも、かゆみの原因になるとされ、症状の報告も多く、がん細胞がかゆみを起こす何らかの問題を起こしていることも指摘されている。がん患者が、摘出を行った後にかゆみが治まったとの例もあるのです」(専門医)
 いずれにせよ、「難治性のかゆみ」と診断された場合は、内臓悪性腫瘍のチェックも必要ということを頭に入れておこう。

 その一方で、肌の乾燥によるかゆみを防ぐためには、どのような対策が必要なのか。皮膚科・アレルギー科などの専門家の意見を元に、以下の6つにまとめてみた。
 (1)暖房器具は必要最低限で使用…エアコンや電気カーペットなどの暖房器具で室内を温めすぎない。空気が乾燥し、肌も刺激を受けやすいため、使用する際は加湿器や濡れタオルなどを部屋に干し、湿度を50%程度に保つ。
 (2)入浴の際の湯船は39℃前後…熱い湯での長時間の入浴は、体内の水分を奪うことになる。39℃程度の湯に20分程度浸かること。
 (3)肌の擦りすぎは厳禁…タオルなどでの擦りすぎは注意。脂が取れて乾燥肌になりやすい。石鹸も不要なくらいで、顔や首、脇の下、陰部、足裏などの汚れやすい部分のみ軽く洗えば十分。
 (4)保湿クリームを塗る…入浴後、特に手足にクリーム等を塗り保湿する。
 (5)下着、寝間着類は綿製品を使用…吸湿性が優れる綿製品の下着、寝間着がお勧め。ゴムがきついものも避ける。
 (6)ビタミンの補給…特にA、B、Eを摂取する。さらに夜は十分に睡眠をとることで、皮膚の再生を促すホルモンが分泌される。

 ともあれ、季節にかかわらず、かゆみがひどい場合は、その原因に注意だ。