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車の運転中に携帯電話をいじっている友人を、注意しないといけないのでしょうかーー。弁護士ドットコムの法律相談コーナーにこのような相談が寄せられました。

相談者によると、これによって事故が起きたり、警察から取り締まりを受けた場合、注意をしなかった自分も罰せられるのかと不安になったようです。

運転者がお酒を飲んだことを知りながら乗っていた場合、同乗者も罪を問われるということはよく耳にします。運転中の携帯電話の操作を注意しない同乗者も、何らかの罪に問われるのでしょうか。中村友彦弁護士に聞きました。

●同乗者を取り締まる直接の規定はない

友人が運転中に携帯電話をいじっていた行為はどういった罪になりますか。

「道路交通法71条5の5は、自動車を運転する場合、自動車が停止しているときを除き、運転者が、携帯電話を通話のために使用したり、携帯電話の画面に表示された情報等を見続けたりする行為を原則として禁止しています。

これに違反した場合には5万円以下の罰金、交通事故を起こすなど道路における交通の危険も生じさせた場合には3ヶ月以下の懲役又は5万円以下の罰金とされています」

同乗していた友人も、何らかの罪に問われるのでしょうか。

「この道路交通法71条5の5自体は、運転者に対するものであり、運転者が運転中に携帯をいじっていることを認識している同乗者を直接規制するものではありません。

飲酒運転の同乗者の場合には、運転者が酒気を帯びていることを知りながら自動車を運転することを依頼する等して、飲酒運転に同乗した者を直接規制する道路交通法65条4項のような規定があります」

●罪に問われる可能性がないとは言えない

では罪に問われる可能性はないと考えていいのでしょうか。

「運転者が運転中に携帯電話の操作を行っていることを認識している同乗者については、このような直接的な規定はありませんが、だからといって罪に問われる可能性がないとは言えません」

具体的にはどういった罪に問われる可能性があるのでしょうか。

「同乗者が、運転者が運転中に携帯電話の操作を行っていることを認識しながら黙認し、運転者を助長させたような場合、同乗者は刑法62条により道路交通法71条5の5の幇助犯(犯罪を行うのを助けた者)として、処罰される可能性があります。

したがって、運転者が運転中に携帯電話の操作を行っていることを同乗者が認識した場合には、同乗者としては運転者に止めるように注意すべきです。そもそも、運転者が運転中に携帯電話の操作を行い、交通事故が起きれば、同乗者も大怪我等を負う可能性があることを強く念頭におくべきです」

(弁護士ドットコムニュース)



【取材協力弁護士】
中村 友彦(なかむら・ともひこ)弁護士
OSAKAベーシック法律事務所所属。幅広く扱っているが、交通事故の被害者側の案件が多く、加害者側・交通事故に関する刑事弁護等も扱っている。
事務所名:OSAKAベーシック法律事務所
事務所URL:http://www.o-basic.net/