FBI、逮捕の「WannaCryヒーロー」が銀行マルウェア開発を認めたと報告。一方弁護人は無実を主張

銀行を狙うトロイの木馬「Kronos」開発などに関わった容疑をかけられているMarcus Hutchins氏が、事情聴取で容疑を認めたと、FBIが報告しました。しかし弁護人は、Hutchins氏がすべての容疑を否認しており、週明けの法廷で無実を主張するとしています。Hutchins氏は今年はじめに世界的に猛威を奮ったランサムウェアWannaCryを無効化する"キルスイッチ"発見者として知られる人物です。

Hutchins氏は8月4日に行われた聴聞会でKronosの開発、販売、配布といった複数の容疑に対して無罪を主張すると述べたのち、米国内にとどまることを条件とした保釈金3万ドルを支払って開放されています。

FBIはHutchins氏がKronosの作者で、そのコードを販売していたと主張、Hutchins氏と氏名未公表の共犯者がKronosのコード売買に関わっていたときのものとされるチャットログが証拠として存在するとしています。

一方、Hutchins氏の弁護人Adrian Lobo氏は、訴えをすべて否定し無罪を主張すると述べました。現在Marcus Hutchins氏は保釈こそされてはいるものの、国外逃亡を避けるためパスポートを没収され、さらにインターネットへのアクセスを禁じられるとともにGPSによる居場所の監視を受ける状態。そして共犯者とされる人物との接触も禁止されているとのこと。さらに来週、8月8日にはウィスコンシン州の法廷への出廷を命じられています。

Marcus Hutchins氏は今年始め、ランサムウェアWannaCryのソースコードを解析し、特定の未使用ドメイン名を登録するだけでその動作を停止させられる"キルスイッチ"を発見しました。これによって世界的な被害拡大(の一部)を食い止めた立役者として称賛されました。またセキュリティ研究者仲間らは、彼の普段の行動からもハッキング行為を悪用するなどありえないとしており、支援金募集のためのクラウドファンディングを計画しています。

・ランサムウェアWannaCry感染を食い止めたヒーローをFBIが逮捕。別のマルウェア開発配布容疑