東京都と神奈川県をつなぐJR南武線の各駅に貼り出されたトヨタ自動車の求人広告のポスターが、「攻めてる」とツイッター上で関心を集めている。

「え!? あの電気機器メーカーにお勤めなんですか! それならぜひ弊社にきませんか」。広告では、漫画のセリフに使われる吹き出しの中に、こんなフレーズが大きく躍っている。

「シリコンバレーより...」

ツイッター上では、2017年7月20日ごろからトヨタの求人広告の写真が次々に投稿されている。


トヨタ自動車本社

それを見ると、「電気機器メーカー」を「IT企業」「先端メーカー」などと言い替えた広告もあった。さらに、次のような広告も各駅に掲げられていた。

「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい」
「ネットやスマホの会社のエンジニアと、もっといいクルマをつくりたい」
「交通事故死を0に近づけるためのコードを書こう」
「エンジニアのみなさま、お疲れさまでした。本日帰宅されましたら、自宅でじっくりと下記の内容をご検討ください」

広告では、吹き出しフレーズの下に「自動運転・コネクティッド技術のエンジニア募集」とあり、トヨタの中途採用情報サイトのアドレスが記されている。コネクティッド技術とは、IoTと呼ばれるネット接続の通信機能を車などに活用することを指す。

こうした広告は、神奈川県川崎市内にある武蔵小杉、武蔵中原、向河原の各駅、横浜市内にある矢向駅に貼ってあったとツイッターで報告されている。

「狙いは、南武線沿線の企業からの応募を期待」

JR南武線の沿線は、NEC、富士通、東芝といった大手電機メーカーや様々なIT企業の工場や研究所などがあり、「日本のシリコンバレー」の1つと言われることもあるようだ。

ツイッターに写真をアップした投稿者らからは、次々に驚きの声が上がっている。

なぜ、世界のトヨタが日本国内でこんな求人広告を出すようになったのだろうか。

トヨタ自動車の広報部は7月27日、Jタウンネットの取材に対し、次のように説明した。

「この広告の狙いとしては、南武線沿線の企業からの応募を期待しているということです。広告戦略に関わることですので、詳細についてはご容赦下さい」

沿線の企業などからの反応については、「把握していません。こちらは、採用活動がどうだったかが重要だと考えています」と話している。

沿線のある大手電機メーカーの広報担当者は、「『こんな広告は困る』といった声は、今のところ社内からは聞いていません。特にコメントすることではないと考えており、こちらとしては静観したいと思っています」と言っている。